
どうも、こんばんは。
情をどこかに捨ててきたの? とよく訊かれる宴です。
今回は浅ノ宮 遼/眞庵さんの『情無連盟の殺人』を読んだので、紹介していきます。
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変わった設定の物語を読みたい!
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不可思議なミステリーを読みたい!
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最近、感情がなくなってきた!
という方にぴったりな作品となっていますので、最後までお付き合いよろしくお願いします。
情無連盟の殺人 / 浅ノ宮 遼/眞庵
徐々に感情が失われていく病「アエルズ」に罹患した、元麻酔科医・伝城英二。空腹は感じるがそれを不快には感じない。うまくもまずくもないので、食べ物にも興味がなくなった。ファッションや人間関係についても同様だ。毎日同じ料理を食べ、人付き合いも最低限にして暮らしていた英二はある日、アエルズ患者八名が共同生活を送る“情無連盟”から加入の誘いを受ける。だが英二が泊まりがけで見学に訪れていたさなか、連盟員の一人が殺害されてしまう。不可能状況下、しかもあらゆる欲求を失い、怒りも悲しみも感じない「情無」たちが集う屋敷で、なぜ殺人事件は起こったのか?現役医師であり、ミステリーズ!新人賞受賞作家である著者が相棒・眞庵と共作した、本格犯人当て長編。(「BOOK」データベースより)

だいたい800字書評
小説は年中無休のサンタクロース。
いつもいつも我々読み手の感情を動かし、ドキドキハラハラを超えたワクワクを与えてくれます。
それもこれも、小説の登場人物たちが感情豊かに物語を駆け回るからなのでしょう。
小説さん、本当に毎度毎度、ありがとうございます。
ところがです。
この度、大胆な挑戦ともいえる作品を発見してしまいました。
その名も、情無連盟の殺人。
とんでもなく痺れさせてくれるミステリーです。
情無連盟…?
え、なんぞや、それは。
まずはそんな疑問が浮かぶかと思いますが、それも仕方がないこと。
情無という単語自体が、本作オリジナルの単語なのですから、聞いたことがないのも当然です。
本作ではアエルズという奇病が登場します。
どんな病気かと言うと、次第に感情が失われていくという、考えただけでもゾッとする病気です。
考えてみてもください。
もしも我々に感情がなければ、小説を読んでも楽しいと思えず、人にどう思われても構わないからファッションもどうでもよくなり、食べ物さえも食べれれば何でもよくなる。
しかも、それらのことをつまらないとも思えない。
一体、何のために生きているのか…
想像しただけでも、ゾッとしますよね。
そんなアエルズたち情無が共同生活をする場所、それが情無連盟。
『アエルズ』に罹患した、元麻酔科医・伝城英二は、加入の誘いを受けますが、そこでとんでもない事件が起きてしまいます。
それは、不可解な状況での殺人事件。
はたして、犯人は誰なのか?
外部犯なのか、それとも、内部犯なのか?
もしも、情無連盟の中に犯人がいるとすれば、怒りも恨みも抱かないなずの情無がなぜ犯行に及んだのか?
いくつもの謎が集約されていく終着点は、驚きの真実に到達します。
最初はどうなることかと思いましたが、情無たちの物語…なかなか痺れさせてくれます。
心に残った言葉・名言
生きる理由がないからといって、そもそもなんの問題があるんだ? すまないがあんたが言っていることが、おれにはよくわからん。自分には死ぬ理由など存在しない。だから生きるんだ
人類の感情は役割を終えたんですよ
まったく…誰も彼もが、すぐ簡単に知りたがる。みんなそうだ。『一足す一は?』と問い、『ニ』という答えを得たからといって、足し算を理解したことにはならないというのに
総合評価
今回は浅ノ宮 遼/眞庵さんの『情無連盟の殺人』を紹介しました。
1978年生まれ。宮城県仙台市出身。新潟大学医学部卒の現役医師。2014年、「消えた脳病変」で第11回ミステリーズ!新人賞を受賞(「BOOK」データベースより)
物語 | 7/10点 |
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登場人物 | 6/10点 |
世界観 | 8/10点 |
構成 | 6/10点 |
文章 | 7/10点 |
総評 | 34/50点 |
ぜひ読んでみてくださいね!
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。
