ご覧いただきありがとうございます。
どうも、宴です。
今回はそんな物語を紹介させていただきます。
どうぞごゆるりとお楽しみください。
おいしいごはんが食べられますように
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。ままならない人間関係を、食べものを通して描く傑作。心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。(「BOOK」データベースより)
おいしいごはんが食べたい
納得のいかないことは世の中にたくさんあります。
とくに人間関係は、本当にめんどくさいですよね。
どうにか折り合いをつけて生きていますが、モヤモヤがなかなか消えないこともあって、困ってしまいます。
どうなっているのでしょうか、この世界は。
本作はそんなどうかしている世界を、違った価値観で生きる3人の物語です。
といっても、語り手は2人。
職場でそこそこうまくやっている二谷と、仕事ができてがんばり屋の押尾さんの2人です。
この世界に蔓延るモヤモヤを食べものと絡めてしまう展開はすごく秀逸で、何だか苦しくなってしまいます。
なぜ苦しくなってしまうのか。
それは僕にも二谷にも押尾さんにも具体的にはわかりませんが、とにかくみんなが思っていることはただひとつ。
おいしいごはんが食べられますように。
みなさんはおいしくご飯を食べられていますか?
興味深い二谷さん
何を考えているのかわからない。
そういう人っていますよね。
小説は、とくに主人公や語り手さんとかは、心情が書かれていがちなので感情移入しやすいのですが…
残念ながら本作の主人公、二谷さんは大変わかりにくい方です。
なぜこう思ったのか。
なぜこんな行為に出たのか。
共感できるところもあるのですが、全体を通して見るとよくわからない。
何となくわからなくもないような気もするのですが、結局のところよくわからないお人なのです。
ですが、そのよくわからなさが物語に絶妙な味を醸し出すのです。
わかるようなわからないようなアンバランス加減。
わかるようで、わからないからこそ知りたくなる心情。
そっと背中を撫でてくる不快感のようなわだかまり。
良くも悪くも二谷さんは興味深い人間です。
ぜひ観察してみてください。
強者と弱者の戦い
頑張れば頑張るほど報われる。
そういう世の中に生まれたかったのですが、この世界はどうやら違うようです。
どんなに頑張ったとしても、報われない時は報われません。
逆に頑張っていない人が報われてしまうことだってあるのです。
みなさんの近くにもいませんか?
お姫様のような、守らなきゃいけないと思わせてしまう人。
この人はこういう人だから、しょうがないよね、と許容されてしまう人。
本作はそういう弱い人と強い人の戦いの過程でもあります。
はたして、この世界で強いのはどちらか?
胸が張り裂けそうな結果が待ち受けています。
本作がおすすめな人
本作がおすすめなのはこんな方々です。
おいしいごはんが食べたい人
おいしいごはん食べられていますか?
いや、違います、味とかそういう話ではありません。
何の損得なくまっさらな気持ちで食を楽しめていますか?
もしも、楽しめていないのであれば何かひっかかることがあるのかもしれません。
本作を読んで気づきましょう、モヤモヤに。
強い人
常に頑張っているし、仕事もできるし、何事にも負けたくない。
そんな人は本作を読みましょう。
どうすることもできない世の中ではありますが、考えることで生きやすくなることもあります。
弱い人
心に残った言葉・名言
無理せず帰る人も、人一倍頑張る人も、残業しない人もたくさんする人も、自分の仕事のあり方が正解だと思ってるんだよ
強いか弱いかを比べる戦いだった。 当然、弱い方が勝った。 そんなのは当たり前だった
自分をチアできない者に、人をチアすることはできない
総合評価
今回は高瀬 隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』を紹介しました。
1988年愛媛県生まれ。立命館大学文学部卒業。2019年『犬のかたちをしているもの』で第43回すばる文学賞を受賞し、デビュー(「BOOK」データベースより)
物語 | 6/10点 |
---|---|
登場人物 | 7/10点 |
世界観 | 8/10点 |
構成 | 9/10点 |
文章 | 8/10点 |
総評 | 38/50点 |
ぜひ読んでみてくださいね!
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。