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【おすすめ本】今年ももう終わりということで『2021年に読んだおすすめ本30選 前編』を紹介しよう

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管理者:宴

ご覧いただきありがとうございます。

ところで、『我を忘れて選手の雄姿に目を奪われたり、つい声を張り上げ応援してしまう祭典』と『2021』といえば、オリンピックだよね。
 

 

どうも、宴です。

オリンピックはついつい白熱して見入っちゃうよね。いつかオリンピックの種目に読書が入ることを願うよ。どうやって競うのか全然想像つかないけどね!

 

まぁ、そんなわけで、今回は『2021年に読んだおすすめ本30選 前編を紹介しようと思う。30選の前編ということでまずは15選!

 

 

 

 

かがみの孤城/辻村深月

あらすじ

どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す―(「BOOK」データベースより)

 

現実世界に打ちのめされたこころ。そんな彼女の救いは不思議な鏡の中の世界にあった。そこにいた7人にとっての救いも…人はきっと助け合える。それは回りくどいし、まやかしかもしれないけれど、少なくとも彼らはきっと大丈夫。たとえ上手くいかなかったとしても、強く生きていける。そう思える前向きな一冊だ。

 

管理者:宴
不思議なかがみの世界の物語。
 

 

ツ、イ、ラ、ク/姫野 カオルコ

あらすじ

地方。小さな町。閉鎖的なあの空気。班。体育館の裏。制服。渡り廊下。放課後。痛いほどリアルに甦るまっしぐらな日々―。給湯室。会議。パーテーション。異動。消し去れない痛みを胸に隠す大人達へ贈る、かつてなかったピュアロマン。恋とは、「堕ちる」もの。

 

今まで恋の墜落現場を目撃したことがなかったのだけれど、こんなにも劇的で、こんなにもドラマティックなものだとは知らなかった。コロコロと移り変わるクラスメイトの視点から見る準子は、田舎と学校という閉鎖空間の怖さともやもやとした感情に打ちのめされ、通知表に悲劇的の項目があれば★5。備考欄には「素敵な恋を見せていただきました」と書いておきたい。

 

管理者:宴
最高の恋愛小説。 

 

異類婚姻譚/本谷有希子

あらすじ

子供もなく定職にもつかず、ただ安楽な結婚生活を送る主婦の私はある日、いつの間にか互いの輪郭が混じりあって、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く…。夫婦という形式への強烈な違和を軽妙洒脱に描いた表題作で第154回芥川賞受賞!自由奔放な想像力で日常を異化する中短編4作を収録。(「BOOK」データベースより)

 

顔が似てきた。それを危惧しつつも、馴れ合いに勤しむ夫婦の物語。寓話と現実の境目で訴えかけるメッセージは痛烈で痛快。結婚とは何か、夫婦とは何か、を今一度考えさせられる。そして、まさかそんな着地点に降り立つとは、と驚かされもした一冊だ。

 
管理者:宴
夫婦って何なのだろう。
 

 

零歳の詩人/楠見朋彦

あらすじ

旧ユーゴスラビアの都市で地下生活を送るアキラを中心に繰り出される言葉は、随時、語り手を替え、詩人や兵士や市民の言葉が引用され、報告、告白、手記、詩、批評と、絶えず口調を変えながら、セルビア人にもクロアチア人にも、ボスニア人にも、アメリカ人にも書きようのないテクストを編んでいる。第23回すばる文学賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

紛争に喘ぐ人々の声に耳を塞ぎたくなる物語。 この痛みは誰の声? この愉悦は? この狂気は?  目まぐるしく駆け回る紛争の現実に頭がくらくら。平和な日本にいる僕には、この感情のような物語を真から理解することは難しく、ただ圧倒されるばかりだ。 戦争や紛争はここまで人間を変え、残虐な生き物にしていくのかと思うと、やりきれない。

 

管理者:宴
苦しい…
 

 

火定/澤田瞳子

あらすじ

藤原氏が設立した施薬院の仕事に、嫌気が差していた若き官人・蜂田名代だったが、高熱が続いた後、突如熱が下がる不思議な病が次々と発生。それこそが、都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせる“疫神(天然痘)”の前兆であった。我が身を顧みず、治療に当たる医師たち。しかし混乱に乗じて、お札を民に売りつける者も現われて…。第一五八回直木賞にもノミネートされた、「天平のパンデミック」を舞台に人間の業を描き切った傑作長編。直木賞&吉川英治文学新人賞ダブルノミネート作品。(「BOOK」データベースより)

 
いつの時代も人々は見えない恐怖に脅える。医療もメディアも発達していない時代に襲い掛かる天然痘の恐怖によって、人々は狂い、惑う。そんな中で立ち向かう医師たちは果敢だ。命の重さを認識しているのだろう。改めて医療従事者の熱意とありがたさが心に染み入る。
 
管理者:宴

感染症怖い。

 

 

 

N/道尾秀介

あらすじ

すべての始まりは何だったのか。 結末はいったいどこにあるのか。 「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。 「死んでくれない?」鳥がしゃべった言葉の謎を解く高校生。 定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人。 殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者。 ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇跡を見た看護師。 殺人事件の真実を掴むべく、ペット探偵を尾行する女性刑事。 道尾秀介が「一冊の本」の概念を変える。(Amazon紹介ページより)

 

六編もあるなら、三編目から読んでもいいよね。そんな我がままを筆者は叶えてくれた。一つ一つの物語のクオリティの高さはもちろんのこと、各章同士の繋がりが見事に映えている。面白いのが読む順番によって読後の余韻が変わってしまうこと。僕の場合は後味最悪な終わり方だったので、心地よいざわめきがぐるぐると身体中を駆け巡った。物語もアイディアも素晴らしいし、筆者にはもう弱点などないのかもしれない。

 
管理者:宴
世界を変えてみよう。 

 

夏物語/川上未映子

あらすじ

大阪の下町に生まれ育ち、東京で小説家として生きる38歳の夏子には「自分の子どもに会いたい」という願いが芽生えつつあった。パートナーなしの出産の方法を探るうち、精子提供で生まれ、本当の父を捜す逢沢潤と出会い、心を寄せていく。いっぽう彼の恋人である善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だと言い、子どもを願うことの残酷さを夏子に対して問いかける。この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか―。(「BOOK」データベースより)

 

子どもはこの世界に生まれることを望んでいるのか。それは親の勝手な幸せになるであろう、という賭けなのではないか。そもそも命が生まれるということはどういうことなのか。揺れる夏子の物語は命に対しての考え方を改めさせられる。そして、考えさせられる。新しい命に対しての向き合い方や、とらえ方と直面させられる一冊だ。

 

管理者:宴
真摯に向き合いたい。 

 

黒牢城/米澤穂信

あらすじ

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の到達点。『満願』『王とサーカス』の著者が挑む戦国×ミステリの新王道。

 

有岡城を舞台にした物語はただただ血なまぐさいミステリというだけではない。当時の切迫した状況と人生観が交錯した歴史ロマンでもある。そんなロマンの立役者が二人いる。どんな状況であろうとも戦い抜く軍師の鏡である黒田官兵衛。場内でおこる事件に四苦八苦する荒木村重。二人が鍵となる歴史ミステリは、歴史の一片に残る戦いとなることだろう。

 

管理者:宴
まさかの歴史ミステリ。 

 

儚い羊たちの祝宴/米沢穂信

あらすじ

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

 

諸君、上流階級とはこう狂うのだよ、といった風情のお手本のような狂気が心地いい。環境が生んだ甘い物語と、しばしば顔を出す不穏なものが僕を陶酔させ、これだよ、これ、求めていたのはこれなのだよ、とかつてない高揚に身震いが止まらない一冊だ。

 
管理者:宴
痺れる。 

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー/ブレイディみかこ

あらすじ

人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧……。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、でも、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。優等生のぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。(Amazon紹介ページより)

 

人間社会は何かしらの問題が絶えない。そんな現代に本作は少しの知恵と勇気をくれる。国籍や人種、差別、偏見問題。これらには答えという答えがないのだけれど、それに対する筆者と息子さんのエピソードには説得力があり、思わずなるほど、と呻ってしまう。簡単ではない問題だけれど、考えること、そのためには無知を減らすことが大切なのだと。素敵な親子は教えてくれる。

 

管理者:宴
ブルーにもグリーンにもなれるよ。 

 

 

血も涙もある/山田詠美

あらすじ

私の趣味は人の夫を寝盗ることです――妻と夫とその恋人。極上の“危険な関係”。有名料理研究家の妻と、その10歳年下のイラストレーターで「魅力的」な夫。ある日、妻の助手である一人の女が、夫の恋人となる。はじめは、微妙なバランスを保っていた3人の関係は、ユーモラスに残酷に、その味わいを変えていく。「妻」「夫」「恋人」と異なる視点から語られる、意外なその後味とは―。著者、最新作!(Amazon紹介ページより)

 

不倫というのは妙にどろどろしているイメージがあったのだけれど、本作はそのイメージを覆し、あれ、不倫ってそこまで悪いことなんだっけ? と疑問を呈する。恋人、夫、妻からなる不倫劇はどこかチャーミング。小説でしか表すことの出来ない特別な愛で溢かえっている。どんなテーマでも素敵な愛の物語にしてしまう筆者には心の底から感服。これからもついていきますのでよろしくお願いいたします。

 

管理者:宴
不倫は当事者にしかわからないこともあるよね。 

 

アンマ―とぼくら/有川ひろ

あらすじ

母の予定に付き合う約束で沖縄に里帰りしたリョウ。実の母は子供の頃に亡くなり、再婚してリョウを連れ沖縄に移り住んだ父ももういない。休暇は三日。家族の思い出の場所をめぐるうち、リョウは不思議な感覚にとらわれる。この三日が、恐らくタイムリミット。三日目が終わったら…終わったら、どうなる?

 
沖縄巡りの途中で入り混じる現在と過去。それはリョウたち家族の絆を固めに結び付ける沖縄の粋な計らい。一体今どの時間軸にいるのか。絶妙な違和感と感覚を、筆者は全て沖縄のせいにして、本作に詰め込んだ。ぎゅうぎゅうに詰め込まれた沖縄と家族は素敵だけれど、めちゃくちゃ切ない。

 

管理者:宴
アンマ―! 

 

ひと/小野寺史宜

あらすじ

女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が、急死した。 僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。大学は中退を選び、就職先のあてもない。 そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていく。

 

いろんな人間がいるからこの世界はおもしろい。筆者はそんな人間たちを物語に登場させ、一人残らず丹念に描いていく。何もかもを失くした聖輔に触れた優しさたちは、コロッケのようにぎゅっと詰まっていて温かい。悪い人もいるけれど、やはり人間っていいなぁ、と改めて思わせてくれた一冊だ。

 

管理者:宴
コロッケ食べたくなったよ。 

余命3000文字/村崎 羯諦

あらすじ

「大変申し上げにくいのですが、あなたの余命はあと3000文字きっかりです」ある日、医者から文字数で余命を宣告された男に待ち受ける数奇な運命とは―?(「余命3000文字」)。「妊娠六年目にもなると色々と生活が大変でしょう」母のお腹の中で引きこもり、ちっとも産まれてこようとしない胎児が選んだまさかの選択とは―?(「出産拒否」)。「小説家になろう」発、年間純文学「文芸」ランキング第一位獲得作品の書籍化。朝読、通勤、就寝前、すき間読書を彩る作品集。泣き、笑い、そしてやってくるどんでん返し。書き下ろしを含む二十六編を収録!

 
本作は、がつん! と何かを提示しているわけでも、訴えかけてくるわけでもない。ただひたすらに上質のエンターテイメントと畏敬の念を抱いてしまう物語が、ところせましと闊歩しているだけだ。大化の改新にでも遭遇してしまったかのような衝撃である。

 

管理者:宴
着想がすごい! 

 

理不尽ゲーム/サーシャ・フィリペンコ/奈倉有里

あらすじ

群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスク。老いた祖母だけがその回復を信じ、病室で永遠のような時を過ごす一方、隣の大国に依存していた国家は、民が慕ったはずの大統領の手によって、少しずつ病んでいく。緊迫の続く、現在のベラルーシの姿へとつながる物語。

 

人生は理不尽なことばかりかもしれない。唐突な事故がおきることもあれば、国がおかしくなることもある。不穏な国の不自由さに辟易しつつも、その中で生きていく人たちの愛とねじれた感情が胸を刺す。ツィスクが自由に生きていますように。次の七夕の願い事が決まった瞬間だ。

 

管理者:宴
自由って素晴らしいね。