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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
チョコレートなしの人生なんてもはや考えられない。あの甘さがない人生なんて考えただけでも悍ましい…でも、なんとそんな国が存在したのです!
ということで、今回はアレックス・シアラーさんの『チョコレート・アンダーグラウンド』をご紹介させていただきます。
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チョコレート・アンダーグラウンド/アレックス・シアラー/金原瑞人
舞台はイギリス。選挙で勝利をおさめた“健全健康党”は、なんと“チョコレート禁止法”を発令した!国じゅうから甘いものが処分されていく…。そんなおかしな法律に戦いを挑むことにしたハントリーとスマッジャーは、チョコレートを密造し、“地下チョコバー”を始めることにした!チョコレートがこの世からなくなったら、あなたはどうしますか?禁チョコなんて、ダイエットのときしかしたことない!読めばきっと、チョコレートが食べたくなる…。(「BOOK」データベースより)
チョコレート | 10/10点 |
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ドキドキ | 9/10点 |
感動 | 7/10点 |
切なさ | 7/10点 |
読みやすさ | 8/10点 |
総評 | 10/10点 |
書評・感想文
チョコレートが奪われた国
チョコレートが三度の飯よりも大好きです。たとえ三度の飯がチョコレートでも一向に構いませんし、この世界の半分がチョコレートでも一向に構いません。むしろ流れ星に願ってやみませんし、初詣の時も願ってやみません。
そんなチョコレート好きな僕の心をくすぐる傑作が現れました。本作『チョコレート・アンダーグラウンド』は、チョコレートが禁止され、自由を奪われた国が舞台の物語です。チョコレートが食べられなくなるなんて発狂ものですね。
横行する理不尽
そこではとにかく理不尽が横行。所持していた場合にはとんでもなく酷い目に合わせられます。好きなものを奪われた人々は悲しみ、そして、恐怖します。その様は非人道的です。
が、チョコレート好きな人々もただ黙っているわけではありません。どうにかしてチョコレートを食べたい、こんな理不尽に虐げられてたまるか! と抗い始めます。はたしてチョコレートを自由に食べられる日はやってくるのでしょうか。どうなるのかわからない緊迫感が全てのページに漂っています。
チョコレートよりも大事なもの
ユーモアも冴え、寓話のような印象を抱きますが…あれ、このような国どこかで見たことが、というか、聞いたことがあるような…
本作で奪われたのはチョコレートでした。でも、もしそれが尊厳や自由だったとしたならば…この物語はチョコレートよりも、もっと大事な何かを訴えているのかもしれません。
…いや、チョコレートよりも大事なものなんてありませんでした。申し訳ございませんでした、チョコレートさん。
心に残った言葉・名言
チョコレートのかわりになるものなんて、ありっこないんだから
「出すぎた善行なんてものはよけいなお世話だ。自分の考えを人に押しつけるってことだからな」
おかしなことに、全然嘘をつかなくても、真実の多くの部分を話さないですませることはできる。なにも言わないだけでいい。沈黙というのは、非常に便利なものなのだ。
「人には、食べたいものを自分で決める自由と権利がある!」
復讐は酸のようなものだ。触れた者を、必ずむしばんでしまう。魂そのものをくさらさせるんだよ。
『すぐにもどります』という掲示の意味は『すぐにもどる』から『もう一度会えればラッキー。待つつもりなら、テントの用意を』まで、幅が広い。
すべての人に
自由と正義とチョコレートを。
アレックス・シアラーさんの他作品
最後に
チョコレート大好きな人、チョコレートの密売をしていた人、地下チョコバーを営業していた人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。