
どうも、こんばんは。
海外小説もロボットも人間も優しさも大好きな宴です。
今回はカズオ・イシグロさんの『クララとお日さま』を読んだので、紹介していきます。
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海外小説を読みたい!
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ロボットと人間の物語を読みたい!
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温かくて優しい物語を読みたい!
という方々にぴったりな作品となっています。
最後までお付き合いよろしくお願いします!
クララとお日さま / カズオ・イシグロ/土屋 政雄
人工知能を搭載したロボットのクララは、病弱の少女ジョジーと出会い、やがて二人は友情を育んでゆく。生きることの意味を問う感動作。愛とは、知性とは、家族とは?ノーベル文学賞受賞第一作、カズオ・イシグロ最新長篇。(「BOOK」データベースより)

ほぼ800字書評
世の中はとても世知辛いものです。
その世知辛さは、遥か太平洋を超えて、さらにはオゾン層も超えてしまって、最終的にアンドロメダ星雲にまで辿り着くのではないかと言われています、一説では。
こんなに世知辛いと、どうしても欲しくなるのが優しさです。
優しさがないと人間は生きていけませんからね。
そこで提案なのですが、いかがでしょうか。
ここはひとつ、本作で優しさを注入していきませんか?
本作、クララとお日さまは優しさそのものです。
なぜならば、主人公クララが優しさで溢れかえっているから。
彼女はロボットであり、人間にはないブレることのない純粋さをもっています。
読み手の心がどんなに凍てついていようとも、お日さまと一緒にぽかぽかと温めてくれることでしょう。
そして、何より優しいのがカズオイシグロさんが本作で作り上げた世界です。
序盤、我々読み手は少し戸惑います。
なぜならば、本作の世界観や設定について多くは語られずに、物語は進行していくからです。
けれど、読み進めていくと次第に気づいてくることがありました。
ひょっとしてカズオ・イシグロさんは、あえて説明をしていないのではないか…?
語るのは野暮でありナンセンス。
クララと一緒に、みんなでこの物語の世界観を作り出していこうではないか。
きっと、楽しいよ!
考えすぎかもしれませんが、そう訴えかけているような気がしてなりません。
そして、出来上がった世界観の、なんとまぁ温かくて優しいことか。
人間の残酷さや狂気めいた部分も見受けられますが、それすらも愛おしくなるような、切なさと儚さを孕んだ確かなメッセージ性のある世界観。
そこに注入される優しいクララとカズオ・イシグロさん。
クララとお日さまはとても優しくて、味わい深い一冊でした。
心に残った言葉・名言
懐かしがらなくてすむって、きっとすばらしいことだと思う。何かに戻りたいなんて思わず、いつも振り返ってばかりいずにすむなら、万事がもっとずっと、ずっと……
子供って、ときどき残酷よね。大人相手なら、何をやったって相手は傷つかないと思ってる
最後には、信じつづけて意思を曲げない人が勝つんだ
総合評価
今回はカズオ・イシグロさんの『クララとお日さま』を紹介しました。
1954年11月8日長崎生まれ。1960年、5歳のとき、海洋学者の父親の仕事の関係でイギリスに渡り、以降、日本とイギリスのふたつの文化を背景に育つ。その後英国籍を取得した。ケント大学で英文学を、イーストアングリア大学大学院で創作を学ぶ。1982年の長篇デビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年発表の『浮世の画家』でウィットブレッド賞を受賞した。1989年発表の第三長篇『日の名残り』では、イギリス文学の最高峰ブッカー賞に輝いている。2017年にはノーベル文学賞を受賞。2018年に日本の旭日重光章を受章し、2019年には英王室よりナイトの爵位を授与された(「BOOK」データベースより)
物語 | 9/10点 |
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登場人物 | 7/10点 |
世界観 | 10/10点 |
構成 | 10/10点 |
文章 | 8/10点 |
総評 | 44/50点 |
ぜひ読んでみてくださいね!
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。
