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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
人って素敵です。でも、僕はついそのことを忘れてしまいます。忘れちゃいけないことのはずなのに。今回はそんな『人』の物語です。
ということで、今回は小野寺史宜さんの『ひと』をご紹介させていただきます。
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ひと/小野寺史宜
女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が急死した。僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。大学は中退を選び、就職先のあてもない。そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていく。本屋大賞から生まれたベストセラー、待望の文庫化。(「BOOK」データベースより)
温かさ | 10/10点 |
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ドキドキ | 6/10点 |
感動 | 9/10点 |
切なさ | 7/10点 |
読みやすさ | 8/10点 |
総評 | 10/10点 |
書評・感想文
人の優しさと温かさ
人の温かさはとてもいいものです。温泉の温かさか、人の温かさか、と問われれば病んでいない限りは人の温かさを選びます。
そんな人の温かさを書いた逸品があります。それが小野寺史宜の『ひと』という小説。人の優しさと温かさを存分に感じることができる物語です。
心も身体も人に包まれる
天涯孤独な主人公の視点から触れる人たちは、本当に温かくてホッカイロのよう。しかも、時速200kmではなく、亀のようにじんわりと沁みてくるのでたまりません。
しかも、小野寺史宜さん特有のゆったりとした優しい空気感が、その温かさを後押ししてくるので、骨身に染みます。心も身体も人に包まれます。
再確認
僕は人の優しさや温かさを知っていたはずでした。でも、いつしか忘れてしまっていたのかもしれません。悪い人もいる、ということを知ってから。
本作は人の優しさと可能性、そして、コロッケは誰が揚げても美味しいということ。本来知っていたはずなのに忘れていたこと。それを再確認させてくれました。
ああ、僕はこのために小説を読んでいるのかもなぁ、ということも。じんわりとくる温かさにうっとりする一冊でした。
心に残った言葉・名言
情だけではどうにもならない。でも情は必要。
「自分でなれると思ったから、なろうとしてるわけでしょ? だったらなれる」
「何もかもあきらめなくても、いいんじゃない?」
人は空気なんて読めない。よく考えればわかる。そこそこ仲がいい友達が自分をどうとらえてるかさえわからないのに、空気なんて読めるはずがないのだ。
大切なのはものじゃない。形がない何かでもない。人だ。人材に代わりはいても、人に代わりはいない。
小野寺史宜さんの他作品
最後に
人の優しさに触れたい人、いきなり天涯孤独になった人、コロッケを揚げている人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。