PON!と宴





宇佐美 まこと『ドラゴンズ・タン』 ネタバレなしの800字書評【感想 言葉】|時代をこえて巡る愛と禍の因果

管理者:宴

どうも、こんばんは。

歴史に名を刻みたい宴です。

 

 

今回は宇佐美 まことさんの『ドラゴンズ・タン』を読みましたので紹介していきます。

 

  • ホラーサスペンスを読みたい!

  • 歴史ものが好き!

  • 壮大な物語を読みたい!

 

という方々にぴったりな作品となっています。

最後までお付き合いよろしくお願いします!

 

 

 

ドラゴンズ・タン / 宇佐美 まこと

あらすじ

人類の歴史の裏で暗躍し、秘かに生き続ける“竜舌”。その正体に気づいたら最期…!古の中国で、ある男の野望と怨念から生まれた「竜舌」。古井戸に宿る奇異な生命体は漢、唐、明…と時代を経ながら歴史のはざまで姿を現しては暗躍し、人知れず不気味な存在へと変貌していく。因果は巡り“思い”を受け継いだ一組の男女が危機を察知するも、刻は満ち…。悠久の刻を超えて巡る“愛と禍”の因果を描く、ホラーサスペンス!(「BOOK」データベースより)

管理者:宴
竜舌の目的は何…?
 

 

ほぼ800字書評

 

少し前の話ではありますが、『積丹ブルー』を見に行きました。

積丹ブルーというのは、新しい学校のリーダーズの楽曲『オトナブルー』やΛuciferの楽曲『堕天使BLUE』とは全く関係がなく、北海道の積丹半島か見える海のことです。

『積丹岬』や『神威岬』などから見下ろす海はとても青くて綺麗なのです。

ということで、積丹ブルー。

 

その眺めは壮大で圧巻。

自然の偉大さはもちろんのこと、自分のちっぽけさを痛感しましたし、感動しましたし、何だか頑張ろうと思えましたし、心のお洗濯をアリエールを使わずに行うことができました。

 

ああ、壮大なものって人を打ち震わす力があるんだ。

そこには理屈や根拠はないけれど、こんなにも心が震わせられるんだ。

そう強く思ったものです。

 

で、この度、運命的に出会ってしまった本作『ドラゴンズ・タン』から、僕はとても似たようなものを感じました。

なぜならば、本作はとても壮大だったからです。

心が震わされたからです。


はじまりは、はるか昔、中国、漢の時代。

『竜舌』という得体の知れない悪意が生まれました。

『竜舌』は、漢、唐、明と移り変わる時代で暗躍をし、そして、現代へと悪意を放ちます。

 

このままでは、『竜舌』に世界は滅ぼされてしまうかもしれませんが、ご安心ください。

いつの時代だろうと存在する『竜舌』と対をなす対抗策があるのです。


それは愛。

たとえ、時代が終わり寿命が尽きようとも、愛は転生を繰り返し受け継がれていくものなのです。

そう、簡単に『竜舌』の好きにはさせません。

 

一体、『竜舌』が放とうとしている悪意の正体とは何なのか?

愛は『竜舌』を止めることができるのか?

 

壮大な物語の決着をぜひともご覧いただければと思います。

各時代の背景、人々の暮らしなども描かれていて、大変興味深い一冊となっていますよ。

 

心に残った言葉・名言

 

この世にはずっと続く一本の正しい道があるのです。よく目を見開いて自分の前に拓けた道を見なければ。人は道に従って成すことを成せばよい

 

どうして国境なんかあるのかしら。どうしてどちらかでいないといけないのかしら。中国人も日本人も同じ東洋人なのに

 

お前は高さを怖がらない。落ちることを怖がらない。それでそこまで伸びたんだ。だが、いつかそれが命取りになる。恐怖心こそが自分を守るんだ

 

総合評価

今回は宇佐美 まことさんの『ドラゴンズ・タン』を紹介しました。

宇佐美まこと(ウサミマコト)

1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞“長編及び連作短編集部門”を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる(「BOOK」データベースより)

物語 /10点
登場人物 /10点
世界観 10/10点
構成 /10点
文章 /10点
総評 40/50点

 

ぜひ読んでみてくださいね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております!
 

 


 


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君嶋 彼方『夜がうたた寝してる間に』 ネタバレなしの本紹介【書評 感想 言葉】|他人と違うことの苦悩と葛藤! 能力者たちの物語

ご覧いただきありがとうございます。

ところで、こんなことを思う時はありませんか?

管理者:宴
能力をもつということは!? 他人と違うことは!? しんどい!!
 

どうも!

『能力を手に入れたら』という妄想で1週間は生きられる管理者の宴です。

 

今回は、特殊能力者たちの苦悩や葛藤を描いた物語がありましたので、紹介させていただきます。

どうぞ、ごゆるりとお楽しみください。

 

 

 

夜がうたた寝してる間に / 君嶋 彼方

あらすじ

他人と違っても、俺ならうまくやっていけると思っていた。-あの事件が起きるまでは。余計な“力”を持ったせいで、こんなにも一人ぼっちだ。必死でみっともなく生きるすべての人の背中を押す青春小説。(「BOOK」データベースより)

管理者:宴
ということで、今回は君嶋 彼方さんの『夜がうたた寝してる間に』を紹介します。
 

 

能力者たちの苦しみ

誰でも一度ぐらいは、いや、2、3度、いや、5万度ぐらいはあるのではないでしょうか。

 

こんな能力が欲しい。

この能力を持っていたら、こんなことがしたい。

自分だったらこう使う。

 

夢のような話ですが、想像するだけでも何だかワクワクしてしまいますよね。

 

ですが、実際問題。

能力を持つということは、ワクワクすることばかりではありません。

むしろ逆。

 

他人と違うということがどれほどに辛くて苦しくてしんどいことなのか。

本作はなりたくてなったわけでもない能力者たちの苦悩と葛藤が描かれます。

 

胸が張り裂けそうになる能力者たちの叫び。

痛烈なその叫びをどうぞお聞きください。

 

不思議な事件

で、みなさん気になるのは能力者たちの能力だと思いますが、ここではネタバレをしません。

ただ、まぁ、エンタメ作品ではよく出てくる能力です。

 

本作に登場する能力者は3人。

本当はもう1人いて、4人なのですが、主メンバーは3人です。

 

それぞれ違う能力で、それぞれ違う歪み方と苦悩を持っていて、それぞれの生き方で日常を過ごしていました。

 

ところが、3人の運命と関係を変えてしまう出来事が起きてしまうんです。

それは何とも不思議な事件。

 

なぜそんなことが起きたのか?

目的は何なのか?

 

そして、犯人は能力者なのか?

 

揺らぐ物語の果てには、衝撃的な結末が待ち受けていました。

これはうたた寝している場合ではありません。

 

歪みこそ人生

歪むものの代表格といえば、部屋の床と人生ですよね。

そう、残念ながら、人生は時に歪んでしまうのです。

 

本作には、そういういくつもの歪みが描かれています。

 

他人には決してわからないであろう歪み。

そのはじまりは他人と違うことであったり、自分のせいで辛い目に遭う人がいたり、様々。

 

絡み合う歪みは物語を最高に盛り上げていきます。

 

たどり着いたクライマックスは涙なしでは見ることができません。

覚悟しておいてくださいね。

 

本作がおすすめな人

本作がおすすめなのはこんな方々です。

 

能力系の物語が好きな人

能力者が出ているのであれば何でも見ます。

ドラマでも映画でも漫画でも、小説でも! という方に本作はおすすめです。

バトル要素は一切ありませんが、その分他の能力者系エンタメ作品とはひと味違ったおもしろさがあります。

ぜひともご賞味ください。

 

変わった青春小説が読みたい人

本作はまごうことなき青春小説です。

能力ありきの世界での若者たちの苦悩や葛藤。

あまり類を見ない青春が描かれていますので、ありとあらゆる青春小説を網羅された方にもお楽しみいただけます。

 

他人と違うと感じている人

何で自分だけ…
自分がみんなと同じだったらこんなに苦労しなかったのに…
本作にはそういう苦しみが描かれています。
能力という点をのぞけば、きっと共感の嵐。
そして、大事なことに気づくことができるはずです。
 

心に残った言葉・名言

 

四角い窓に、夜を眠らせて閉じ込めた

 

みんな思っていること全てを伝えられないから、どうにかして言葉にしようとしてくるわけでしょ。だったら、それだけを信じてみたっていいって思えるようになったの。その言葉って、きっと色んな思いを絡めて口にしてくれた一言なんだろうから

 

同情に責任を持つ人などいない。つらいと泣き叫べば、優しい手を差し伸べてくれる人も時にはいるだろう。でもそれだけだ。それ以上のことはしてはくれない

 

誰かのために無理できるってことは、すごいことだと思うよ

 

総合評価

今回は君嶋 彼方さんの『夜がうたた寝してる間に』を紹介しました。

君嶋彼方(キミジマカナタ)

1989年生まれ。東京都出身。「水平線は回転する」で2021年、第12回小説野性時代新人賞を受賞。同作を改題した『君の顔では泣けない』でデビュー(「BOOK」データベースより)

物語 /10点
登場人物 /10点
世界観 /10点
構成 /10点
文章 /10点
総評 37/50点

 

ぜひ読んでみてくださいね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております!
 

 


 


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山本 幸久『花屋さんが言うことには』 ネタバレなしの本紹介【書評 感想 言葉】|花は人間を救う! 花屋さんの物語

ご覧いただきありがとうございます。

ところで、こんなことを思う時はありませんか?

管理者:宴
花屋さんで働きたい! 花に興味がある! 花言葉にも興味がある! 

どうも!

花言葉どころか日本の言葉もちゃんと話せているか怪しい宴です。

 

今回は、お花屋さんで働き始めたとある女性の物語がありましたので、紹介させていただきます。

ごゆるりとお楽しみください。

 

 

 

花屋さんが言うことには / 山本 幸久

あらすじ

24歳、ブラック企業勤務。身も心も疲れ果てていた紀久子が深夜のファミレスで出会ったのは、外島李多と名乗る女性だった。彼女は「川原崎花店」という花屋さんを駅前で営んでいるらしく、酔っぱらった勢いで働くことに。やたらカレー作りがうまい青年や、おしゃべり好きの元教師、全体的に適当な李多。バラエティに富んだ従業員と色とりどりのお花に囲まれながら、徐々に花屋さんの仕事に慣れていく。花を求めるお客さんの事情はそれぞれ。誰かを祝う花もあれば、少し切ない花もある。いろんな想いが詰まったお花を届けているうちに、紀久子は自分の心にもう一度向き合いはじめー(「BOOK」データベースより)

管理者:宴
ということで、今回は山本 幸久さんの『花屋さんが言うことには』を紹介します。
 

 

お花屋さんの世界

山本さんの小説は、出先に語彙力落としてきたのでこんな言葉しが思いつきませんが、おもしろいんです!

何がおもしろいのかと言いますと、毎回知らない世界を見せてくれるのです。

 

お笑いの世界や…

人形作りの世界…

 

で、今回見せてくれる世界はお花屋さんです。

お花に囲まれ、良いスタッフにも囲まれ、素敵なお客さんにも囲まれて。

どうやらお花が好きな人に悪い人はいないのかもしれませんね。

 

心を豊かにしてくれるお花の世界。

川原崎花店に、ぜひ一度お立ち寄りください。

 

まるで花言葉

小説を読んでいて、うわっ! 上手い! とか、うわっ! やられた! とか、とにかくうわっ! とすることが、度々あるのです。

今作にもそれがありました。

 

本作は花屋さんで働き始めた紀久子の物語です。

1話1話ごとに主題となる花をテーマに進んでいくのですが…

1話毎のラストが、もうやってくれるんです。

 

その瞬間、僕はまたこの作品を好きなっていきました。

本当に素敵な、まるで花言葉のような一冊です。

 

花も人間もいろいろ

本作の舞台となる川原崎花店のスタッフはみなさん個性的で、バラエティにとんでいらっしゃいます。

 

中でも、外島李多という人はすごいんです!

何がすごいのかというと、まず主人公、紀久子との出会いからもう、すごいんです。

 

彼女のすごさ、とんでもなさは紀久子を救いました。

なかなか真似のできない粋なことをしてくれたのです。

カッコいい!

 

でも、人っていろいろとありまして、彼女にもいろいろがあります。

それはもちろん他の人、スタッフたちにもいろいろがあります。

 

本作は花屋さんの物語です。

それと同時に、そういう人間のいろいろを描いた物語でもあります。

 

そして、何だか幸せな気持ちになれる物語でもありました。

みなさんも本作を読んで、幸せに浸ってみませんか?

 

本作がおすすめな人

本作がおすすめなのはこんな方々です。

 

お花屋さんになりたい人

お花屋さんって素敵ですよね。

何より「仕事何しているの?」と尋ねられた際に「お花屋さんだよ」と答える優越感は半端ないですよね。

お花屋さんで働いているという事実だけで、どんな醜悪な人間も素敵に早変わりする気がしますよね。

お花屋さんに憧れている人はぜひとも本作を読んでみましょう。

 

花が好きな人

とにかく花が好きな人、日常に花がある人に本作はおすすめです。

本作にはたくさんの花が出てきます。

もちろん花の知識や情報も盛りだくさん。

本作を読めば、新たな花の知識が蓄えられること間違いなしです。

 

人生につまずいている人
本作は主人公の紀久子が人生に疲れ果てた場面からはじまります。
人生につまずくことは、人間をやっていれば何度もあるかと思います。
それでも、きっと何とかなります!
本作はそういう勇気を与えてくれます。
希望を持って生きていきましょう。
 

心に残った言葉・名言

 

スズランって見れば見るほど、鈴にそっくりなんですねぇ。だれが見てもかわいいとしか言い様がないカタチが、あざとくありません?

 

じぶんがそうだとおもいこんでいたことが、じつはそうじゃないところが、おもしろくてたまらない。

 

いくらとおくてもホッキョクは、おなじチキューでしょ。ホッキョクの空もクジラヌマの空も、おなじ空だからね。空をみあげれば、さびしくなんかない

 

総合評価

今回は山本 幸久さんの『花屋さんが言うことには』を紹介しました。

山本幸久(ヤマモトユキヒサ)

1966年東京生まれ。2003年『笑う招き猫』(『アカコとヒトミ』を改題)で第16回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー(「BOOK」データベースより)

物語 /10点
登場人物 /10点
世界観 /10点
構成 /10点
文章 /10点
総評 40/50点

 

ぜひ読んでみてくださいね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております!
 

 


 


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小野寺 史宜『タクジョ!』 ネタバレなしの本紹介【書評 感想 言葉】|就職や転職にもおすすめ! タクシードライバー女子の物語

ご覧いただきありがとうございます。

どうも、宴です。

管理者:宴
運転が好き! 人も好き! それなら、タクシードライバーになるのがおすすめ!
 

今回はそんな物語を紹介させていただきます。

どうぞごゆるりとお楽しみください。

 

 

 

タクジョ! / 小野寺 史宜

あらすじ

運転が好き、ひとも好き。タクジョ・夏子、今日も快走!高間夏子は四大卒の新人タクシードライバー。女性客が安心してタクシーに乗れるよう、自分が運転手になると決めてこの道に進んだ。女性運転手の比率はわずか3%。無賃乗車や強盗など不安要素も尽きないが、個性あふれる先輩や同期に励まされ、家族に支えられて、夏子は誠心誠意、仕事に恋に(!?)立ち向かう。温かくて爽快な青春お仕事小説の傑作!(「BOOK」データベースより)

管理者:宴
ということで、今回は小野寺 史宜さんの『タクジョ!』を紹介します。
 

 

タクシードライバーの世界

小説はいつも僕に知らない世界を見せてくれます。

それがありがたいのなんの。

 

今回、新たに見せてくれた世界はタクシードライバーです。

僕はタクシーに乗ることはよくありますが、思えばタクシーのことを何も知りません。

 

タクシーは朝から深夜まで稼働しているけれど、シフトはどうなっているのか。

給料形態はどうなっているのか。

などなど。

 

そんな疑問の数々。

タクシー業界の知られざる内情やシステムが本作で明かされます。

知れば知るほど興味深いことばかりでした。

 

本作を多くの子どもに読ませれば、将来なりたい職業ランキングで、YouTubeを抑えて堂々の1位もあり得るかもしれません。

 

しかも、タクシードライバーは歳をとっても長く働ける安定した仕事です。

老若男女、誰でもタクシードライバーになれる可能性があるのです。

 

今まで選択肢にもありませんでしたが、タクシードライバー…

いい仕事ですよ!

 

それ行け、タクシー女子


タクシードライバーは男性。

そんな固定概念をお持ちではありませんか?

お持ちでしたら、今すぐ捨ててください。

タクシードライバーには女性もいるのです。

 

本作タクジョはタクシードライバー女子、夏子の物語です。

 

不規則になりがちな生活や女性だからこその危険性など、問題は多々あるものの、彼女はタクシードライバーとして精一杯、業務に励みます。

その姿には、タクシードライバーという職業の見る目をガラリと変えられました。

 

タクシードライバー女子、略してタクジョ。

とんでもなくカッコいいです!

 

たくさんの、いい、人たち

本作には、たくさんの人が出てきます。

 

様々な事情や決意をもって、タクシードライバーになった人たち。

女性がタクシードライバーをする危険性を心配する人たち。

そして、いろんなものを抱えたお客さんたち。

 

とくにお客さんに関しては、ちょっと怖いなぁ、と思ってしまいました。

何しろタクシーは密室なわけで、何をしてくるかわかりませんからね。

 

でも、やっぱり人っていいもんです。

小野寺さんが描くと、さらにいい。

良い、ではなく、いい。

 

本作は、そんな、いい、と思えるたくさんの人たちに出会えます。

ぜひたくさんのいい人たちと出会ってみてください。

 

本作がおすすめな人

本作がおすすめなのはこんな方々です。

 

タクシーに興味がある人

タクシーに興味がある、好きだ! という方々、お待たせしました。
本作を読めばタクシー業界のことがよくわかります。
これでもますますタクシーにハマること間違いなしです。

 

就職や転職で悩んでいる人

どんな仕事に就けばいいかわからない…

転職しようと思うけれど、いい仕事はないだろうか…

そんな方々に朗報です。

ここだけの話なんですけど、タクシードライバーって素晴らしいんです。

ちょっとだけでも、タクシードライバーの世界、覗いていきませんか?

 

人が好きな人

本作はタクシードライバーの物語です。

が、同時に人の物語でもあります。

人が好きでしょうがない。

たくさんのいろんな人に出会いたい。

それならば、本作がぴったりです。

 

心に残った言葉・名言

 

わたしは隔日の女

 

走れるのは一日三百六十五キロまで、と決められてもいる。これはドライバーの負担を考慮してのもの。長距離長時間の運転は危険、との判断からそうなってるのだ

 

やめるだろ。どんな会社だって、やめるやつはやめる。誰もやめない会社なんてねえよ

 

総合評価

今回は小野寺 史宜さんの『タクジョ!』を紹介しました。

小野寺史宜(オノデラフミノリ)

1968年、千葉県生まれ。2006年、「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年、ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作『ROCKER』(ポプラ社)で単行本デビュー。『ひと』(祥伝社)が2019年本屋大賞第2位に選ばれる(「BOOK」データベースより)

物語 /10点
登場人物 /10点
世界観 /10点
構成

/10点

文章 /10点
総評 36/50点

 

ぜひ読んでみてくださいね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております!
 

 


 


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山下 紘加『あくてえ』 ネタバレなしの本紹介【書評 感想 言葉】|誰か止めて、いや、止めないで! うごめく悪態の応酬

ご覧いただきありがとうございます。

どうも、宴です。

管理者:宴
ついつい悪態ついちゃう! でも、仕方ないよね! 人間だもの!
 

今回はそんな物語を紹介させていただきます。

どうぞごゆるりとお楽しみください。

 

 

 

あくてえ / 山下 紘加

あらすじ

19歳小説家志望と90歳甲州弁のばばあ、溢れる悪態の応酬。第167回芥川賞候補作。(「BOOK」データベースより)

管理者:宴
ということで、今回は山下 紘加さんの『あくてえ』を紹介します。
 

 

嫌悪感と哀しみ

悪態は嫌なものです

他人の悪態なんて、出来れば聞きたくないものランキング第1位に3年連続で輝いて殿堂入りしてもおかしくありせん。

本作は、そんな嫌悪感たっぷりの悪態が詰まった一冊です。

 

いくら小説だからってこんなにも悪態を聞かせてくるなんて…

何を考えているんだ!

と、思っていたのですが、僕が何を考えているんだ! の間違いでした。

悪態は小説で描くべき題材だったのです。

 

考えてみると悪態は悪口ではありません。

納得のいかないこと、ままならないことがあった時のため息なのです。

つい出てしまう気持ちなのです。

 

小説はつい出てしまう気持ちを描くのに、適した媒体。

つまり悪態は小説にとって、相性のいい題材なのです。

 

いやぁ、悪態って本当に最高ですね。

 

ばばあとの暮らし


悪態といえば、ついついてしまうものですが、ついついてしまう存在No.1をご存知ですか?

それは…

ばばあです。

 

おばあさんでも、おばあちゃんでもありません。

ばばあなんです。

ばばあと呼ばれてしまう存在なんです。

 

本作に出てくるばばあは見事なばばあでして、ばばあ中のばばあ、90歳、甲州弁のばばあです。

 

時にイラっとしますし、甲州弁もイラっとしますし、いろんなことにイラっとします。

でも、何故だか愛しくもあります。

 

つい悪態をついてしまう。

でも、本当はつきたくない気持ちもある。

 

本作は、そんなばばあと家族の物語です。

つい悪態をついてしまう、ままならない気持ちを思う存分堪能することができるでしょう。

 

悪態は逃げ場所

みなさんは辛い時にどうしていますか?

ひょっとして、真っ向から立ち向かっていませんか?

 

確かに生きるということは戦うことでもあります。

でも、戦い続けるのはしんどいはずです。

時には逃げ場が欲しくなることもあるはずです。

 

そんな時にいい方法があるんです。

そう、それは悪態。

 

悪態というのは、ひとつの逃げ場でもあるのです。

本当は言いたくないけど、言わなければ爆発しそうになる。

そんな憤懣の逃げ場。

 

本作は、それがリアルに描かれた一冊です。

悪態とは必死に生きれば生きるほど吐いてしまうものなのかもしれませんね。

 

本作がおすすめな人

本作がおすすめなのはこんな方々です。

 

悪態をついてしまう人

本作の9割は悪態で出来ています。

普段から悪態をついてしまう人には、わかるわかる! と共感することが多いことでしょう。

 

家族が訳ありの人

家族にはいろんな家族があります。

万引きする家族もいれば、ついつい有頂天になっちゃう狸の家族もいます。

本作の家族も少し訳あり。

不思議な家族の関係に、改めて家族とは何かを問われている気がします。

訳あり家族のみなさんには、読めば読み進めるほど、思うことが出てくるのではないでしょうか。

 

不満が多い人

なんでこんな世の中なんだ、納得がいかない。
本作はそんな人にこそ読んでいただきたいです。
嫌悪感たっぷりのはずの不満がちょっとだけ、愛おしくなるかもしれませんよ。
 

心に残った言葉・名言

 

年をとると、世界との距離ができる。危うい距離だ。若い頃、何気なく歩いていた階段の段差も、容易に手が届いたはずのキッチンの戸棚も、ごく普通のボリュームでの会話のキャッチボールも、何もかも遠い

 

黙ってにこにこしてるのが優しさじゃないから

 

困難な日常に真摯に向き合おうとするほど、逃げ場は必要だった

 

総合評価

今回は山下 紘加さんの『あくてえ』を紹介しました。

山下紘加(ヤマシタヒロカ)

1994年、東京都生まれ。現在、会社員。2015年、『ドール』で第五二回文藝賞を受賞(「BOOK」データベースより)

物語 /10点
登場人物 /10点
世界観 /10点
構成 /10点
文章 /10点
総評 36/50点

 

ぜひ読んでみてくださいね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております!
 

 


 


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村山 由佳『星屑』 ネタバレなしの本紹介【書評 感想 言葉】|2人の少女の軌跡の果てはスターダスト

ご覧いただきありがとうございます。

どうも、宴です。

管理者:宴
歌手って大変なのかな? マネージャーって大変なのかな? 芸能界って大変なのかな? 

今回はそんな物語を紹介させていただきます。

どうぞごゆるりとお楽しみください。

 

 

 

星屑 / 村山 由佳

あらすじ

大手芸能事務所「鳳プロ」のマネージャーながらも雑用ばかりでくさっていた桐絵は、博多のライブハウスで歌う16歳の少女・ミチルに惚れこみ、上京させる。鳳プロでは専務の14歳の娘・真由のデビューが決まっており、ミチルに芽はないはずだった。しかし彼女のまっすぐな情熱と声は周囲を動かしてゆく。反りが合わずに喧嘩ばかりの二人。妨害、挫折、出生の秘密、スキャンダル…その果てに少女たちが見るものはー。必死にもがく少女たちと、大人たちの様々な思惑が織りなす、息もつかせぬ痛快長編!(「BOOK」データベースより)

管理者:宴
ということで、今回は村山 由佳さんの『星屑』を紹介します。
 

 

歌手の道は茨道

歌手というのは大変な世界の住人のようです。

人それぞれデビューのきっかけは違うでしょうが、歩き出せば同じような茨道。

簡単には成功することはないでしょう。

 

本作は16歳のミチルと14歳の真由が歌手たいう茨道を歩いて行く過程を描いた物語です。

デビューのきっかけも人生も全く違う2人。

馬が合うはずもなく、先が思いやられるばかり。

 

果たして2人が歩く茨道の先には何が待ち受けているのか。

最後の最後に訪れる『スターダスト』に乞うご期待ください。

 

マネージャーの力

歌手じゃなくても、タレント、芸能人が華々しく売れるには、それ相応の努力と実力が必要です。

でも、それだけでは足りません。

 

そこに必要不可欠なのは、周りの支え。

マネージャーの力なのです。

 

本作の主人公は先程紹介したミチルでも真由でもありません。

桐絵さんという、大手芸能事務所「鳳プロ」で働くマネージャーです。

 

彼女がいなければ、この物語は始まっていませんでした。

 

タレントにとってマネージャーという支えが、どれほどの影響を与えるのか。

本作を読めば、それが痛いほどにわかります。

 

隠された秘密

秘密。

それが物語にひとつでもあると、残念ながら物語はすごく映えます。

登場人物たちは本当に大変そうなのですが…

 

ミチルと真由。

2人には重大な秘密がありました。

それをたまたま知ってしまった桐絵さんはもう大変。

 

その秘密が物語を奥深くしている反面、一体どうなってしまうのか、読んでる側はドッキドキが止まりません。

このドキドキはドッキドキ!LOVEメール以来です。

 

芸能界の怖さを含みつつも、物語は秘密と共に進んでいきます。

 

ミチルと真由の未来に幸がありますように。

そう願うばかりです。

 

本作がおすすめな人

本作がおすすめなのはこんな方々です。

 

歌手に興味がある人

本作は芸能界を描いた小説。

好きな歌手がいる人も、もしくはなりたい人も、興味深く読むことが出来るでしょう。

時代設定は一昔前の芸能界ではありますが、今にも通じるものがあるはずです。

芸能界という茨道を、ちょいとばかし覗いていきませんか?

 

マネージャーに興味がある人

マネージャーの功績というのは、表舞台で見えることはありません。

実際に何をしているのか、どんなことをしているのか。

歌手やタレントにどんな影響を与えているのか。

本作では、それが垣間見ることができます。

マネージャーって大変だけど、やりがいに溢れた職業だということがわかります!

 

推しを見つけたい人

みなさんに推しはいますか?
いないのであれば、いい推しがいるんですよ。
ミチルと真由っていうんですけど、いかがでしょうか?
すごく素敵な2人ですので、ちょっとだけでも見てみませんか?
 

心に残った言葉・名言

 

ふだんどれだけ欲得で動こうが、収支にシビアになろうが、土壇場では音楽の前に膝を折ってしまう。好むと好まざるとにかかわらず、音楽の神にだけは背くことができない。

 

最後の最後まで儲けのことばかり考えて動くような輩は、生身の人間に関わっちゃならんのだよ。

 

秘密ってやつは、水みたいなものだからな。針でつついたくらいのほんの小さな穴からでも漏れていく。

 

総合評価

今回は村山 由佳さんの『星屑』を紹介しました。

村山由佳(ムラヤマユカ)

1964年東京都生まれ。93年『天使の卵ーエンジェルス・エッグ』で第6回小説すばる新人賞を受賞。2003年『星々の舟』で第129回直木賞、09年『ダブル・ファンタジー』で第22回柴田錬三郎賞ほか、『風よ あらしよ』で第55回吉川英治文学賞を受賞(「BOOK」データベースより)

物語 /10点
登場人物 /10点
世界観 /10点
構成 /10点
文章 /10点
総評 35/50点

 

ぜひ読んでみてくださいね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております!
 

 


 


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高瀬 隼子『おいしいごはんが食べられますように』ネタバレなしの本紹介|上手く咀嚼できない食べものと人間関係

ご覧いただきありがとうございます。

どうも、宴です。

管理者:宴
何だか釈然としない! 何だかモヤモヤする! 何だかおいしいごはんが食べたい!
 

今回はそんな物語を紹介させていただきます。

どうぞごゆるりとお楽しみください。

 

 

 

おいしいごはんが食べられますように

あらすじ

職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。ままならない人間関係を、食べものを通して描く傑作。心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。(「BOOK」データベースより)

管理者:宴
ということで、今回は高瀬 隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』を紹介します。
 

 

おいしいごはんが食べたい

納得のいかないことは世の中にたくさんあります。

とくに人間関係は、本当にめんどくさいですよね。

 

どうにか折り合いをつけて生きていますが、モヤモヤがなかなか消えないこともあって、困ってしまいます。

どうなっているのでしょうか、この世界は。

 

本作はそんなどうかしている世界を、違った価値観で生きる3人の物語です。

といっても、語り手は2人。

職場でそこそこうまくやっている二谷と、仕事ができてがんばり屋の押尾さんの2人です。

 

この世界に蔓延るモヤモヤを食べものと絡めてしまう展開はすごく秀逸で、何だか苦しくなってしまいます。

 

なぜ苦しくなってしまうのか。

それは僕にも二谷にも押尾さんにも具体的にはわかりませんが、とにかくみんなが思っていることはただひとつ。

 

おいしいごはんが食べられますように。

 

みなさんはおいしくご飯を食べられていますか?

 

興味深い二谷さん

何を考えているのかわからない。

そういう人っていますよね。

小説は、とくに主人公や語り手さんとかは、心情が書かれていがちなので感情移入しやすいのですが…

残念ながら本作の主人公、二谷さんは大変わかりにくい方です。

 

なぜこう思ったのか。

なぜこんな行為に出たのか。

共感できるところもあるのですが、全体を通して見るとよくわからない。

何となくわからなくもないような気もするのですが、結局のところよくわからないお人なのです。

 

ですが、そのよくわからなさが物語に絶妙な味を醸し出すのです。

 

わかるようなわからないようなアンバランス加減。

わかるようで、わからないからこそ知りたくなる心情。

そっと背中を撫でてくる不快感のようなわだかまり。

 

良くも悪くも二谷さんは興味深い人間です。

ぜひ観察してみてください。

 

強者と弱者の戦い

頑張れば頑張るほど報われる。

そういう世の中に生まれたかったのですが、この世界はどうやら違うようです。

 

どんなに頑張ったとしても、報われない時は報われません。

逆に頑張っていない人が報われてしまうことだってあるのです。

 

みなさんの近くにもいませんか?

お姫様のような、守らなきゃいけないと思わせてしまう人。

この人はこういう人だから、しょうがないよね、と許容されてしまう人。

 

本作はそういう弱い人と強い人の戦いの過程でもあります。

 

はたして、この世界で強いのはどちらか?

胸が張り裂けそうな結果が待ち受けています。

 

本作がおすすめな人

本作がおすすめなのはこんな方々です。

 

おいしいごはんが食べたい人

おいしいごはん食べられていますか?

いや、違います、味とかそういう話ではありません。

何の損得なくまっさらな気持ちで食を楽しめていますか?

もしも、楽しめていないのであれば何かひっかかることがあるのかもしれません。

本作を読んで気づきましょう、モヤモヤに。

 

強い人

常に頑張っているし、仕事もできるし、何事にも負けたくない。

そんな人は本作を読みましょう。

どうすることもできない世の中ではありますが、考えることで生きやすくなることもあります。

 

弱い人

弱いことは悪いことではありません。
けれど、イラっとしたりモヤッとしている人がいるということは事実です。
本作を読みましょう。
そして、ちょっとだけ考えてみましょう。
 

心に残った言葉・名言

 

無理せず帰る人も、人一倍頑張る人も、残業しない人もたくさんする人も、自分の仕事のあり方が正解だと思ってるんだよ

 

強いか弱いかを比べる戦いだった。 当然、弱い方が勝った。 そんなのは当たり前だった

 

自分をチアできない者に、人をチアすることはできない

 

総合評価

今回は高瀬 隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』を紹介しました。

高瀬隼子(タカセジュンコ)

1988年愛媛県生まれ。立命館大学文学部卒業。2019年『犬のかたちをしているもの』で第43回すばる文学賞を受賞し、デビュー(「BOOK」データベースより)

物語 /10点
登場人物 /10点
世界観 /10点
構成 /10点
文章 /10点
総評 38/50点

 

ぜひ読んでみてくださいね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
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『信仰』村田 沙耶香 【ネタバレなしの本紹介】|信じることは危険? 8篇の短編が教えてくれました

ご覧いただきありがとうございます。

どうも、宴です。

管理者:宴
カルトはあやしい! 新興宗教もあやしい! でも、何が…?
 

今回はそんな物語を紹介させていただきます。

どうぞごゆるりとお楽しみください。

 

 

 

信仰

あらすじ

なあ、俺と、新しくカルト始めない?現実こそ正義、好きな言葉は「原価いくら?」の私は、カルト商法を始めようと誘われてー。信じることの危うさと切実さに痺れる8篇。(「BOOK」データベースより)

管理者:宴
ということで、今回は村田 沙耶香さんの『信仰』を紹介します。
 

 

壊される当たり前

村田沙耶香さんは『コンビニ人間』や『生命式』という作品で、我々読み手にとんでもない気づきを与えてくれました。

それは当たり前にそうだと思っていたことが、当たり前ではないかもしれない、ということです。

 

コンビニ人間では普通

 

生命式では

 

ずっと当たり前に思っていたことを叩き潰されるかのように覆される衝撃に、僕は慄きました。

でも、ショックとかではなくてむしろ「ありがとう、気づかせてくれて!」という清々しい気持ちになりました。

このまま生きていたら危険だったかもしれない、とすら思いました。

 

そして、本作信仰。

村田沙耶香さんはまた我々の当たり前をぶち壊していきます。

 

どうぞ、みなさん。

思う存分に壊されてしまってください。

 

何がおかしいのか?

あれはおかしい。

これはおかしい。

 

世の中にはおかしい、と思うことが多々あります。

でも、そのおかしいは一体誰にとっておかしいのでしょうか?

そして、本当におかしいのでしょうか?

 

村田沙耶香さんは本作で、読み手を異常な世界に連れていきます。

その段階で村田沙耶香さんは、クレイジーだなぁ、という感想が漏れることでしょう。

さすが、村田沙耶香さん、そこに憧れる、痺れる、と。

 

ところが、僕たちは目の当たりにするのです。

異常が反転する瞬間を。

 

表題作、信仰。

みなさん、信仰宗教やカルトには怪しいイメージがありませんか?

でも、はたして本当に怪しいのでしょうか…?

 

今、僕の心の中では、晴れていて明るいのに、なぜか靄がかかっているような異常天候がおきています。

 

クレイジーとは

お前、おかしいよ、クレイジーだよ。

と言われると僕は、へへ…とついニヤけてしまいます。

これは僕が本当の意味でおかしい人間なのではなく、「おかしい」「クレイジー」「異常」を、褒め言葉だと捉えているからです。

 

とくに小説は、異常なほどおもしろかったりする面があります。

たからこそ、僕も村田沙耶香さんをクレイジーだ! と讃えていたのですが…

 

それにより傷つく人がいる可能性を考えてはいませんでした。

僕は、みんながみんな、僕と同じ気持ちであり、感覚なのだと信じていたのです。

なんてことでしょうか…

 

と、気づかせてくれるエッセイも本作には収録されています。

 

全8篇の短編集。

たくさんのハッとすること、気づきをくれる一冊です。

心してお読みください。

 

本作がおすすめな人

本作がおすすめなのはこんな方々です。

 

コンビニ人間が好きな人

村田紗耶香さんの代表作『コンビニ人間』は多くの人に読まれました。

コンビニ人間がハマったという人は、本作もおすすめです。

ぜひ極上のモヤモヤを堪能してください。

 

クレイジーな小説を読みたい人

本作はクレイジーな部類に入る小説です。

そして、クレイジーとは何かを考えさせられる小説でもあります。

なのでクレイジーな小説を読みたい人、もしくはクレイジーな人におすすめです。

 

自分が普通だと思っている人

自分、普通ですから…
そうやって他人を普通へと勧誘したりしていませんか?
たまには夢をみたり、幻想にすがったりするのも悪くないものです。
本作を読んで、夢をみたり幻想にすがったりしましょう。
 

心に残った言葉・名言

 

始まりはカルトだって、それで世界中の人が救われたら、それは真実になるわ

 

現実こそ、あなたの洗脳です。それこそがあなたが一生を共にする美しく完全な幻覚なのです。それがあなたの宿命なのです。これが、あなたの心のタトゥーです

 

目には見えない大量の『生存率』っていうウィルスが、本当のこの星の支配者なの。

 

総合評価

今回は村田 沙耶香さんの『信仰』を紹介しました。

阿津川辰海

村田沙耶香(ムラタサヤカ) 1979年千葉県生まれ。2003年「授乳」で群像新人文学賞優秀作、09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した(「BOOK」データベースより)

物語 /10点
登場人物 /10点
世界観 10/10点
構成 /10点
文章 /10点
総評 40/50点

 

ぜひ読んでみてくださいね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

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真梨 幸子『シェア』ネタバレなしの本紹介【書評 感想 言葉】|集うキラキラネーム! 君の名は…誰?

ご覧いただきありがとうございます。

どうも、宴です。

管理者:宴
シェアハウスが楽しそう!シェアハウスをしてみたい! でも、大丈夫かな…?
 

今回はそんな物語を紹介させていただきます。

どうぞごゆるりとお楽しみください。

 

 

 

シェア

あらすじ

鹿島穂花(40)は、相続した新宿区A町の古い民家をシェアハウスにすることに。しかし、不動産会社の口車に乗せられ想定外のリフォームをして借金を負う。さらに工事中に床下からとんでもないものを発見してしまう。シェアハウスには「キラキラネーム」の四人を含む六人の女性が入居。スレッド主「君の名は」が立てた「キラキラネームさん集まれ!」板の常連たちだ。時はコロナ禍、皆でマスクを手縫いし、果てには持続化給付金詐欺に手を染め…。次第に雲行きが怪しくなってゆくシェアハウスの実態は?「君の名は」の正体は?(「BOOK」データベースより)

管理者:宴
ということで、今回は真梨 幸子さんの『シェア』を紹介します。
 

 

シェアハウス✖️イヤミス

シェアハウスとは何か?

それは、ひとつの家を複数人でシェアして暮らすこと。

 

近親者とのシェアハウスの場合もありますが、基本的には他人同士が一緒に住むのが主流らしく、何かしらのトラブルがあったりなかったりするそうです。

怖いですね。

 

そんなシェアハウスをイヤミスの旗手、真梨幸子が書くとどうなるかわかりますか?

答えは…

とんでもなく嫌な感じになるんです。

 

シェアハウスの発起人、鹿島穂花は人生崖っぷちだし、不動産会社の人も怪しい。

そして、何より入居者たちからは嫌な予感が漂っています。

 

これは匂います。

上質なイヤミスの香りかふんぷんと漂っています。

 

どうやらシェアハウス✖️イヤミスの相性は抜群のようです。

 

集うキラキラネームたち

キラキラネームをご存知でしょうか?

『光宙』と書いて『ぴかちゅう』と読ませるちょっと無理やりな名前のことです。

 

ひと昔まえでは、そんな馬鹿な! と思われる名前も今やなくはない時代。

キラキラネームっぽい名前に遭遇することも増えてきました。

 

ですが、複数人一気に遭遇したことはさすがにありません。

本作では、なぜかキラキラネームな人物が一堂に会しちゃいました。

 

ああ、また真梨幸子さんふざけたな…

そうなんです、たまにこの方ふざけてるのではないだろうか、と思うことをするんですよ…

 

と思っていたら、ふざけていませんでした。

真梨幸子さんにとって、キラキラネームは作品を存分に嫌にするスパイスだったのです…!

 

つまりキラキラネームは、イヤイヤネームでもあったということですね…

 

この家で昔、一体何が…!?

一人暮らしをはじめてから何度か引っ越しをしているのですが、たまに前の住人の面影を感じることがあります。

 

ハウスクリーニングが完璧ではなかったのかわかりませんが、画鋲の痕やちょっとした傷。

それらを見る度に、前の住人はどんな人なんだろう…と思いを馳せたりしてしまいます。

 

が、もしも前の住人が危ない人だったならば…!

その部屋で何かよろしくないことが行われていたり、おきていたならば…!

そして、その確実なる片鱗を発見してしまったならば…!

 

実際おきたら嫌なことを、真梨幸子さんは本作で存分に振る舞います。

 

家は新築に限る…

僕は強めにそう思いました。

 

本作がおすすめな人

本作がおすすめなのはこんな方々です。

 

シェアハウスに興味がある人

シェアハウスには危険がいっぱい。

本作を読んで前知識をつけておきましょう。

なお、本作のシェアハウスはまれに見るシェアハウスなので、鵜呑みにしすぎなようにお気を付けください。

 

キラキラネームの人

キラキラネームで苦労してきた…

本作はそんな人たちの救いになるかもしれません。

なにしろ、たくさんのキラキラネームが出てきます。

キラキラネームは自分一人だけではないのだ、と希望を持つことが出来ます。

 

予想がつかない物語を読みたい人

本作はこうなるのかなぁ…という先の予想を全て裏切るような展開で構成されています。
時に混乱するかもしれませんが、予測不能な物語を読みたい人にはおすすめです。
 

心に残った言葉

 

お金を稼ぐには、ある程度、奴隷の身に甘んじなければならないところはある。労働とは、そういうものだ。お金を得る代償に、自身の時間と身を売るのだから

 

社会っていうのは、もともと面倒なもので、もっといえば、面倒が社会を作っているともいえる

 

母親はそう簡単に、自分を殺しません。殺すとしたら、子供のほうなんです

 

総合評価

今回は真梨 幸子さんの『シェア』を紹介しました。

真梨幸子(マリユキコ)

1964年、宮崎県生まれ。多摩芸術学園映画科卒業。2005年「孤虫症」で第32回メフィスト賞を受賞しデビュー(「BOOK」データベースより)

物語 /10点
登場人物 /10点
世界観 /10点
構成 /10点
文章 /10点
総評 37/50点

 

ぜひ読んでみてくださいね!

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております!
 

 


 


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