対応できない恐怖。

 
ご来訪に感謝。
ところで、こんなことを思う時がないだろうか?
 

 

  • 他人の家が気になる。
  • 保険会社に就職したい。
  • 本当の恐ろしさを知りたい。

 

ちょうどよかった。

そんな人にオススメの小説がある。

貴志 祐介さんの『黒い家』だ。

 

あらすじ

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

黒い家

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他人の家というのはなぜか好奇心が掻き立てられてしまう。ああ、玄関こんな感じなんだ、靴めっちゃ置いてある、ん、なんか独特のにおいがする…あ、謎のフィギュア置いてある…あの部屋何なんだろう…嫌な予感がする…

 

そわそわして落ち着かなかったり、意外性に驚いたり、不思議な高揚が僕をお祭りのおみこしのようにヨイショする。その人が過ごした時間、その人の生活、その人の秘密。

 

家はその人自身を写す鏡。それを知りたくなるのは人間の性。冒険心くすぐる何かが発せられている他人の家は、住人がトイレにでも行っている隙に、ついつい家の中を荒らしたい衝動が爆発しそうになり起爆剤を抑えておくのに必死になってしまう。僕がユーチューバーならば、ドッキリと称して滅茶苦茶に部屋の中を荒らしてやるというのに。

 

入ってしまったが最後。

けれど、世の中には知らないままでいた方がいいこともある。若槻慎二が入り込んでしまった黒い家に詰まっているものは恐怖。得体の知れない身もだえるような空気が、ギュウギュウに詰め込まれている。こんな所、頼まれても荒らしたくないし、入りたくもない。

 

入ってしまったが最後。そこからは恐ろしいものがゴロゴロと出てくる。主人公はその扉を開けてしまった。もう、逃げられない。

 

 
でも、開けるしかなかった。
 

 

人間の悪意。

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怖いものと言えばなんでしょうか。というランキングを行った際に上位に入るのは幽霊であろう。出会ってしまったものならば「あ、こんにちは」という間もなく、嫌な予感に押しつぶされ、押しつぶされるどころではない恐怖に押しつぶされる。

 

剥がれてしまう化けの皮。

けれど、幽霊よりも怖いものがある。それは人間。普段は、怖くないよ、という化けの皮を被っているのだが、用法容量を少しでも間違えてしまえば、簡単に剥がれてしまう化けの皮。その下の素顔は幽霊なんか目ではない恐怖が隠されている場合もある。

 

世も末ですね。

保険会社に勤めている若槻慎二はいろんな人間を見てきた。世も末ですね、というぐらいに面倒くさい人種が駆け込んでくる保険会社。その内情はある種の恐怖を抱いてしまう。主人公の気持ちを慮ると同情さえしてしまうが、そこはプロである。そんじょそこらのクレーマーならばお茶の子さいさいの対応だ。

 

ところが、対応できないケースがついに現れてしまった。どんなにその状況に慣れた人間でも、初めてのケースというのは戸惑うもの。これは何かおかしい。

 

自分の価値観を超えた存在。

自分の価値観を超えた存在。それは残業をしてでもとらえきることは出来なかった。見たことも、触ったこともない恐怖が若槻と僕に襲い掛かる。

 

人はここまで悪になりきれるのだろうか。主人公と僕は人間の本当の怖さを目の当たりにした。極限の恐怖とは、このことを言うのかもしれない。

 

 
怖すぎる。