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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
かくれんぼって熱くなりますよね。よし、絶対に見つけてやる、という使命感に火がついてしまいます。それが可愛いアイドルだとなおさら。
ということで、今回は真下みことさんの『#柚莉愛とかくれんぼ』をご紹介させていただきます。
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#柚莉愛とかくれんぼ/真下みこと
3人組アイドルグループのメンバー・青山柚莉愛。メジャーデビューを目指すも売り上げ目標を越えられず焦る日々。ある日マネージャーの提案で動画配信ドッキリを実行し、ファンの混乱がSNSで広がっていく。騙されたファンの怒りの矛先はマネージャーや事務所ではなく柚莉愛本人に向かってしまいー。(「BOOK」データベースより)
萌え | 7/10点 |
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ドキドキ | 6/10点 |
感動 | 3/10点 |
切なさ | 8/10点 |
読みやすさ | 9/10点 |
総評 | 7/10点 |
書評・感想文
闇大好き
人間は闇に弱い生き物。いざ、自分がその闇に呑まれたら焦るくせに、他人の闇にはタイムセールでも行われているかのように食いつくものです。浅ましいですね。
たとえば芸能人のゴシップ。とくにアイドル関連とかは不謹慎だけれど、もうワクワクしちゃってついつい調べまくって時間を費やしてコロンブスの大航海のような大後悔をすることもしばしば。そこに真実なんて必要ないというのに。
アイドルサスペンス
本作『#柚莉愛とかくれんぼ』はそういう闇を描いたアイドルサスペンスです。誇張している部分もありますが、そんなことは関係ナッシング。とにかく闇大好き人間にとっては、その闇が気になって気になってグイグイと物語に引き込まれてしまいます。
また、メフィスト賞ということもあり、驚きの仕掛けもありますが、そこだけに全てを費やしました、という風情の作品ではなく、あくまでもメインはアイドルという存在。
アイドルサスペンスとして、とてもバランスのいい作品に仕上がっているので、闇を存分に堪能することができることでしょう。
宴はアイドルを応援しています
そして、その闇を広げていくのがTwitterなどのSNS。本作でも物語を盛り上げる重要アイテムとして使用されていて、お見事! と思うのと同時に不安も感じてしまいます。
ファンとの距離が曖昧になっていく昨今。アイドル、とくに地下アイドルさんたちには気をつけて活動していただきたいと思います。ファンにはいろんな人がいるから、難しいでしょうが。
兎にも角にも、宴は全アイドルさんを心より応援しています。がんばれ、アイドルたち!
心に残った言葉・名言
白いキャンバスに何かを一生懸命に描こうとしている間はみんな褒めてくれるのに、その絵が完成しないとわかった瞬間に「自分の進歩をよく考えろ」って叱ってくる。
そもそも人間と人間の関係ってそう簡単なものじゃない。相手がアイドルっていうだけで関係性が、「ファン」か「アンチ」かの二択になるなんて、なんか変なの。
音楽のパターンはもう出尽くしたってどこかのミュージシャンが言っていたけど、言葉はどうなんだろう。まだ誰も気が付いていないだけで、実はすべてのパターンはすでにネット上にあるのかもしれない。
相手の無知を小ばかにすることでようやくプライドを保つことのできる人が一番恐れるのは、自分だけが知らないと思われることだ。
熱愛が発覚してファンが怒っているときも、彼らが怒りを覚えているのは熱愛そのものではなく、アイドル『なのに』自分の思い通りにならないという事実なのだと思えます。
どんなにお金を払ったところで、彼女たちの心が完全に手に入るわけではないということを、あなたたちは本当にわかっているでしょうか。
本当の私というものが、私にはない。わかっているのはアイドルとして笑顔で元気に振る舞う自分が、本当の自分とは違うということだけ。
真下みことさんの他作品
最後に
アイドルの人、アイドルファンの人、アイドルの闇を楽しみたい人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。