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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
給食費を盗んだ覚えはないから平然としていればいいはずなのに、なぜだか緊張しちゃう。同じように何事もはじめての時は、そういう緊張に包まれますよね。そういうはじめての物語がここにあります。
というわけで、今回は島本理生さん、辻村深月さん、宮部みゆきさん、森絵都さんの『はじめての』をご紹介させていただきます。
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はじめての/島本理生/辻村深月/宮部みゆき/森絵都
アンドロイドの「僕」と所有者との間に何があったのか。とある国の施設に保護された僕は、「先生」に手紙を書きはじめた(島本理生「私だけの所有者」)。家出をして海沿いの駅に降り立った私は、花束が手向けられた夜の広場で、突然、不思議な女の子から声をかけられた(辻村深月「ユーレイ」)。並行世界で起きたテロへの関与を疑われ、捕らわれた愛娘の夏穂。宗一は夏穂を救いに、単身、もう一つの“鏡界”へと向かう(宮部みゆき「色違いのトランプ」)。幼馴染の椎太が好きでたまらない高校生の由舞は、四回目の告白を確かなものとするため、過去の告白を消し去ろうとする(森絵都「ヒカリノタネ」)。4人の直木賞作家が、YOASOBIとコラボレーション。「はじめて」をモチーフに描かれた4つの物語。現代エンターテインメントの最前線&最高峰!(「BOOK」データベースより)
はじめて感 | 10/10点 |
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ドキドキ | 7/10点 |
感動 | 8/10点 |
切なさ | 8/10点 |
読みやすさ | 9/10点 |
総評 | 10/10点 |
書評・感想文
YOASOBIさんとのコラボ
何事もはじめての感覚ってたまらないよね。なにこれ、こんなのはじめてー、っていう具合に妙な高揚感に包まれ、アドレナリンいっぱい出てるような、今なら地球滅ぼせるようなハイテンション。そして、一皮剥けたような清々しさ。成長したなっていう充実感。
本作『はじめての』は、はじめて〇〇したときに読む物語をテーマに四人の作家さんが剛腕をふるう小説でございます。
あの無性に夜に駆けたくなるYOASOBIさんとのコラボということで、本作を題材にした楽曲も配信される模様。ああ、ワクワクで一週間ぐらいご飯食べなくても生きていけそう。
はじめて〇〇したときに読む物語
四人の作家さんは島本理生さん、辻村深月さん、宮部みゆきさん、森絵都さん、という小説好きならば誰もが知るメンバーで揃えられています。
島本理生さんはずっと気になりつつも初読み。タイトルは『はじめて人を好きになったときに読む物語』。うわぁ、これはやられた、そうきましたか。はじめて人を好きになる、でこういう着想とアイディアができるなんてすごい!
辻村深月さんのタイトルは『はじめて家出したときに読む物語』。短編でありながらも、しっかりと作り込まれた物語。驚きと希望をどっさりと与えてくれます。実家に帰省して帰り際の親の「これも持っていきなさい」ぐらいにどっさりと。
宮部みゆきさんのタイトルは『はじめて容疑者になったときに読む物語』。宮部みゆきさんクラスになると、もう容疑者の捉え方のレベルが違うようです。壮大で、素敵な容疑者に希望を抱きます。
森絵都さんのタイトルは『はじめて告白したときに読む物語』。森絵都さんらしく、SF要素とユーモアで溢れた物語。告白ってすごいことなのかもしれない、と思わせてくれます。告白って、百回ぐらいした方がいいのかもしれないですね。
楽曲も楽しみ!
これらの物語たちが、どんな楽曲になるのか。YOASOBIさんの今後の動向に目が離せません。。小説を読んで、曲を聴いて、また小説を読む。それがどんな作用をもたらすのか。きっとまた違う印象を受けるのでしょう。
ああ、その日が待ち遠しい…
心に残った言葉・名言
情報とはすべての可能性の入口ですからね。
「知ることは、よけいな感情を負うことだ」
手紙の中で書いていましたね。悲しいことだけれど、たった一晩でなにもかも変わってしまうのもまた人間の女性の心なのだと。
「今日を越えたら、何か変わるかもよ」
どうして、あたしのために謝るの。どうしてあたしと一緒に怒ってくれないの。
「だってさ、自分たちをぶよぶよにふくらましたみたいなやつが、糸にくくられて、竿にくっつけられて、空でひらひらしてんだぜ。鯉にしてみりゃ悪夢じゃん。人間ヴァージョンの鯉のぼりとかあったらこわくない?」
「こんにゃくゼリーはおかしじゃないよ。こんにゃくだよ」
「じゃあ、柿の種だっておかしじゃなくて、柿かもよ」
島本理生さん、辻村深月さん、宮部みゆきさん、森絵都さんの他作品
最後に
はじめてのことに不安を抱いている人、背中を押してほしい人、YOASOBIが好きで常日頃から夜を駆ける人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。