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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
出来れば死ぬまで毒はくらいたくなかったのですが、こんな毒なら大歓迎! という毒をくらいました。今も痺れが止まりません。ぶるぶる…
ということで、今回は織守きょうやさんの『花束は毒』をご紹介させていただきます。
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花束は毒/織守きょうや
かつての家庭教師・真壁と再会した木瀬は、結婚を控えた彼に届く脅迫状のことを知り、探偵に犯人捜しを依頼する。探偵・北見理花と木瀬の出会いは中学時代、彼女がもたらした「解決」は今も心に棘を残している。大人になった今度こそ、僕は違う結果を出せるだろうかー。100%騙される戦慄ミステリー!(「BOOK」データベースより)
毒 | 10/10点 |
---|---|
ドキドキ | 8/10点 |
感動 | 5/10点 |
切なさ | 8/10点 |
読みやすさ | 7/10点 |
総評 | 9/10点 |
書評・感想文
毒の足音
ミステリーにおいて、タイトルというのはすごく重要です。それがもう伏線になっていたり、読後の余韻を長引かせたりするのに一役買ったり、とにかく重要なのです。
そういう意味では本作『花束は毒』は秀逸中の秀逸。タイトルの意味が近づいてくる瞬間の臨場感は半端ないです。僕は毒がやってくる足音を確かにきいた気がします。
揺れる心
もちろんそこに辿り着くまでの道筋にも抜かりはありません。作中に散りばめられたいくつもの疑念に揺らされながらも、主人公のまっすぐな素直さに胸を打たれます。と言っても、主人公のせいで揺らされている部分もあるのですが…
そして、毒です。近年、ミステリーって読んでいる最中に何となくわかってしまうよね問題が世間をにぎわせています。ひょっとすると親の浮気や地震などを察してしまうような勘の鋭い人であれば、本作の謎に途中で気づいてしまうかもしれません。
津波のような興奮
ところがです。本作はさらにその上をいくのです。ああ、わかってしまいましたか、でもね、だからどうしたのですか? これでもくらえ! と言っているのかどうかは定かではありませんが、おそらく言っているかのように放たれる毒は、読み手に衝撃的な問をぶつけてきます。もう心の中はてんやわんや。リオのカーニバルも驚いてしまうぐらいです。
読了後は、呆然としつつも、津波のように押し寄せてくる興奮に身もだえてしまいます。この毒はなかなか強烈。病院へ行っても、教会へ行っても簡単には治りそうもありません。
心に残った言葉・名言
珍しくないよ、仲良しだと思ってたお隣さんが嫌がらせの犯人だったとか、誠実だと思ってた彼氏が既婚者だったとか
話しながら、だんだん自分の言っていることがひどく幼稚で、ひとりよがりな気がしてきた。正しいことを言っているはずが、正しいばかりで、現実味がない。
誰より自分を知っている、愛してくれている、自分も信頼している家族に、できるかぎりのすべてを伝えて信じてもらおうとして、それでも、彼らにさえ信じてもらえなかったら。
もうどうしたって無駄なのだと、絶望してしまっても仕方がなかった。
織守きょうやさんの他作品
最後に
毒のあるミステリーを読みたい人、人を信じたい人、結婚間近に脅迫されたことがある人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。