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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
オレンジいいよね。歌っても食べてもいける優れものだ。けれども、本作のミカンの味はちょっと意味深。
ということで、今回はチョ・ナムジュさんの『ミカンの味』をご紹介させていただきます。
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ミカンの味/チョ・ナムジュ/矢島暁子
中学校の映画部で仲良くなったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは「いつも一緒にいる四人」。中学三年生になる直前、彼女たちは旅先の済州島で衝動的にある約束を交わし、タイムカプセルに入れて埋める。さまざまな感情と計算が隠されたこの約束をめぐって、次々と事件が起こるがー。誰もが味わう試練、少女4人で乗り越えていくシスターフッド小説。(「BOOK」データベースより)
友情 | 9/10点 |
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ドキドキ | 7/10点 |
感動 | 6/10点 |
切なさ | 8/10点 |
読みやすさ | 6/10点 |
総評 | 7/10点 |
書評・感想文
シスターフッド
僕には友達がいません。きっと皆様にもいないことでしょう。みんなで一緒の学校に行こうね! 的なノリの友達は。だって都市伝説ですからね。…え? いるんですか…!
いや、まぁ、とにかくです。本作『ミカンの味』は、四人の少女が「みんなで一緒の学校に行こうね!」的な約束からはじまる、一部では熱狂的ブームがおきているシスターフッド小説です。
ああ、いいですね、素敵な友情です、と過去の自分にはない種類の友情に胸が熱くなりましたが、あれれ…何か得体の知れない不安が押し寄せてきます。
ただの友情物語ではない
四人それぞれの身の上話に突入すると、少し毛色が変わり、熱いはずの友情がぼやけていくような感覚に陥ります。本作はただの友情物語ではなかったのです。
まだ自立していないからこその障害や事情、そして、友情まっしぐらには突っ走ることができない複雑な感情。それらが合わさった混合物は、予断を許さないやりきれなさを生みます。
ミカンの味
さらに、そこに韓国のシステム的な事情と彼女たちの思惑が加われば、あっという間に『ミカンの味』です。ちょっと妙な味もしますが、悪くはありません。
なかなかいけるので、お一ついかがでしょうか?
心に残った言葉・名言
「ダジョンが良くなればいいのに。良くならないなら、このままいなくなっちゃえばいいのに。妹が欲しいなんて言わなきゃ良かった」
面接会場に入る時は、服の上からジャンパーまで着せるんだって。どの中学校なのか、どんな服を着ているのか面接官たちがわからないように。そのほうが公正なんだって
ちゃんと二つの手があるのに自分の食事も作れない人間は、みんな出来損ないだよ。
何もせず何の考えもない人が、わかったような顔をして後ろ手に組んで他人のことをあざ笑うものなんだよ。何もせず、何の考えもないから。
あなたがいるってどれほど不思議なことか。あなたたちがいるってどんなにすごいことか。
チョ・ナムジュさんの他作品
最後に
社会に理不尽さを感じている人、韓国という国を知りたい人、みんなで一緒の学校行こうね! と約束している人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。