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どうも、宴です。
K-POPやコスメなど、韓国っておしゃれで最先端なイメージがありましたが、内情はどうなっているのでしょう。その一端が本作で見えてきます。
ということで、今回はチョ・ナムジュさんの『チョ・ナムジュ』をご紹介させていただきます。
82年生まれ、キム・ジヨン/チョ・ナムジュ/斎藤真理子
ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児…彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。女性が人生で出会う困難、差別を描き、絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作!韓国で100万部突破!異例の大ベストセラー小説、ついに邦訳刊行。(「BOOK」データベースより)
韓国感 | 10/10点 |
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理不尽 | 8/10点 |
苦しさ | 9/10点 |
読みやすさ | 7/10点 |
総評 | 7/10点 |
書評・感想文
韓流
日本では、冬のソナタから始まった韓流ブームが上がったり下がったりを繰り返し、スンドゥブやBTSに支えられ、今やブームに収まらない不動の地位を確立しています。韓国、すごい国です。
とはいえ、僕は韓国という国をほとんどよく知りません。外から見た韓国は華やかなイメージがあるのですが、実情はどんなものなのか、いまいち判然としないのです。
一体、韓国とはどういう国なのか。どういう問題があるのか。その問いにキムジヨンさんは答えてくれました。本作『82年生まれ、キム・ジヨン』は韓国という国における女性の地位の低さが鋭角に描かれた小説です。
男性社会
日本もそういう部分があることは否めませんが、韓国は徹底した男社会のようです。たとえば、男の子が生まれなければ中絶するしかない…という思考に家族全員がなっていたり、どんなに頑張ろうとも男性と同じような評価や結果が得られなかったり、女性が社会に出るためには圧倒的に不利な環境になっているのです。
それが当たり前に根づいてしまった世界は非情です。でも、当たり前すぎてほとんどの男性がおかしいとは思いません。むしろおかしいのは女性だ、とでも思っている人も見受けられるようです。
明るい未来へ
もちろんこれが韓国の全てではありませんし、キムジヨンさんの嘆きは韓国という国を批判しているわけでもありません。ただ、苦しい、苦しんでいる人もいる…そう叫んでいるのです。この声が世界中に届くことが、キムジヨンさん、そして、チョ・ナムジュさんの願いなのかもしれません。
誰が悪いというわけではないですし、根っこの部分が地中深くに埋まっているので変えていくのはそう簡単ではありません。それでも昔に比べると少しずつ良い方向に変わっているようなので、これからに期待したいところです。
とにかく明るい未来を望みます。
心に残った言葉・名言
給料はお話にならないほど少ない。そしてそのほとんどは、兄や弟の学費に使われた。一家を盛り立てるのは男の子であり、それが一家全員の成功であり幸せだと考えられていた時代である。娘たちは喜んで男の兄弟を支えた。
「いちばん信じられないのは遠くの血族。お金も無駄になるし、親戚づきあいも壊れちゃうから嫌なんだ」
どうして、起きるかどうかもわからない未来のできごとに備えて、今やりたいこともやらずに生きなきゃいけないの?
加害者が小さなものを一つでも失うことを恐れて戦々恐々としている間に、被害者はすべてを失う覚悟をしなくてはならないのだ。
死ぬほど痛い思いをして赤ちゃんを産んで、私の生活も、仕事も、夢も捨てて、自分の人生や私自身のことはほったらかして子どもを育ててるのに、虫だって。害虫なんだって。私、どうすればいい?
チョ・ナムジュさんの他作品
最後に
韓国を少しでも知りたい人、男性社会に不満を抱いている人、自分に他人が憑依した人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。