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どうも、宴です。
人生は平穏なのが一番ですよね。でも、たまにはめちゃくちゃもいいと思います。幸せに暮らしていくためにはめちゃくちゃなのも必要なのかもしれませんよ。
ということで、今回はルーシー・ヴァインさんの『ほんと、めちゃくちゃなんだけど』をご紹介させていただきます。
<おすすめ記事>
ほんと、めちゃくちゃなんだけど/ルーシー・ヴァイン/森信太郎
バレンタインデー当日、初デートの相手が現れない。友人たちから「大丈夫?」のメッセージ、十一件。エレノア・ナイト、二十九歳。絵文字だけで会話する女、ついに苦手な電話をかける…。ミレニアル世代のヒロイン、爆誕!(「BOOK」データベースより)
滅茶苦茶 | 10/10点 |
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ドキドキ | 7/10点 |
感動 | 8/10点 |
切なさ | 9/10点 |
読みやすさ | 6/10点 |
総評 | 9/10点 |
書評・感想文
末永くしあわせに暮らしましたとさ
「末永くしあわせに暮らしましたとさ」っていう一文。これよく耳にしますよね。
でもです。そんなナレーションみたいな一言で人生も幸せもまとめられるなんてまっぴら! そういう怒りや疑心が本作『ほんと、めちゃくちゃなんだけど』には漂っていて、もうほんと、めちゃくちゃです。
ほんと、めちゃくちゃ
一番のめちゃくちゃはやはり主人公、エレノア・ナイト。彼女の語りで物語は進んでいきますが、この勢いがほんと、めちゃくちゃでたまりません。もっと、もっと! といった具合に物語に引っ張られていきます。
物語の合間に父の謎の小説が挿入されていたりするところもほんと、めちゃくちゃですが、妙なアクセントになっていておもしろくもあります。
みんなめちゃくちゃ
そして、クライマックスに差し掛かるとふと、思うのです。めちゃくちゃって何だろう? と。
主人公は確かにめちゃくちゃですが、それは結婚して、子どもを産み、はい、完成です、幸せ、というフィルターから覗いた場合。
彼女には彼女の幸せがあって、そのフィルターで他人を覗いてみると、案外みんなめちゃくちゃなのかもしれません。作中でも、そのめちゃくちゃが一部垣間見えます。
それならば、どうせめちゃくちゃになるのが人間の定めなのであれば、めちゃくちゃに生きてみたい。そんなことをめちゃくちゃ思える小説でした。
よーし、めちゃくちゃ末永くしあわせに暮らすぞ! っと。
心に残った言葉・名言
一目惚れこそがあらゆる「末永くしあわせに暮らしましたとさ」への鍵だから。
ソフィー、二十二歳のとき、二十四時間以内に三人の男と寝た女(その年は世界尻軽選手権の開催年だったのだ)。ソフィー、かつて乳首の接写を送ってきて、UFOだって信じ込ませようとした女。
「誰かを見つけなきゃなんてことはないし、わたし、一人で大丈夫だから。ソフィー、彼氏探しはね、この世でいちばん大事なことじゃない」
「女がヤバいなんて、マジでは思ってないよ。男よりマシなのは確実だしさ。俺らもみんなヤバいじゃん? 人はみんなイカれてるんだよ」
誰もしあわせじゃないの、人生そうなってないの。あんたもなんとかやって、苦しみの中で死ぬのよ。
「そりゃそうでしょ。やりたいことはなんでもできるよ。しあわせになれることなら、なんでもね」
最後に
末永くしあわせに暮らしたい人、乳首の接写を送ってUFOだと言い張ったことがある人、ほんと、めちゃくちゃな人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。