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本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
そもそも48人じゃ収まってないし、35人目という数え方も間違えているのかもしれない。とにかくわからない。そう、人間はよくわからない生き物なのです。そんなよくわからない人間の物語です。
というわけで、今回は又吉直樹さんの『人間』をご紹介させていただきます。
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人間/又吉直樹
僕達は人間をやるのが下手だ。38歳の誕生日に届いた、ある騒動の報せ。何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待ち受けていたものとは?初の長編小説にして代表作、誕生!!(「BOOK」データベースより)
混沌 | 9/10点 |
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ドキドキ | 4/10点 |
感動 | 7/10点 |
切なさ | 8/10点 |
読みやすさ | 6/10点 |
総評 | 7/10点 |
書評・感想文
火花を読んで
以前、又吉直樹さんの『火花』を読み、僕は愕然としました。小説好きとして、山で言えばチョモランマぐらい有名でしたが、はたして『書く』、となればどうなのか。
で、読了後。
…うわぁっ、これは小説ではないか! 小説好きが書いた小説中の小説ではないか! とベランダの窓から近所迷惑にならない程度の大音量で叫んでしまいました。
絶妙なカオス
そんな又吉さんが今回はどんな作品を書くのだろうか。タイトルは人間。大きなテーマです。で、読んでみるとそこには絶妙なカオスが存在していました。
序盤は夢追い人の葛藤を穿った視点により書かれた青春小説かと思いきや、次第にあふれ出してくる違和感。あれ、何かおかしいぞ…
次第に違和感は大きくなっていきます。夢なのか幻なのかわからないような現実に生きる人間の心の奥にはこういう混沌が待ち受けているかのように、カオスが広がっていきます。
愚かさと混沌
たまに本気でカオスだなぁ、と思う小説がありますが、本作はカオスの手前で止まりつつ、突入しつつを繰り返し、結局カオスを生み出しています。どういうこと? と思ったりもしますが、この歪んだ、まるで青春時代のような感覚。これが意外と心地よくて、ページはずいずいと進み続けます。
人間の愚かさと混沌。でも、それが人間なんだよな、と受けいれられるような、そういう大きな小説でした。人間のことを考えると、なんだか感慨深くなってしまいますね。
心に残った言葉・名言
生まれた瞬間を最後に、自分は心の底から叫んだことがないのかもしれない。
無意識に放たれる屁と、意識的にサンプリングされて流される屁では、どちらがより罪深いのだろう。
屁に実体などなくて、ただの気配だから。屁はおばけだから
なんで自分達と似たとこから這い上がった奴にだけ過剰に反応すんのかね。みっともない
人生は青春と呼ばれる時代よりも、その後に続くエピローグの方が圧倒的に長い。
「想像力と優しさが欠落した奴は例外を認めずただの豚」
なにもないということは全部あるということです
又吉直樹さんの他作品
最後に
芸人又吉直樹が好きな人、クリエイターを目指している人、アメリカにいる相方が心配な人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。