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どうも、宴です。
修学旅行って楽しいし、青春時代の大きな思い出の一つですよね。でも、『ぼっち』たちにとって、修学旅行とはどんな意味があるのでしょう。
ということで、今回は白河三兎さんの『ふたえ』をご紹介させていただきます。
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ふたえ/白河三兎
超問題児の転校生・手代木麗華がぼくらの世界を変えてしまった。ドン臭い「ノロ子」、とにかく地味な「ジミー」、将棋命の「劣化版」、影の薄い「美白」、不気味な「タロットオタク」-友達のいない五人と麗華で結成された『ぼっち班』の修学旅行は一生忘れられない出来事の連続で…。物語が生まれ変わる驚きの結末!二度読み必至、どんでん返し青春ミステリーの傑作誕生。(「BOOK」データベースより)
青春 | 9/10点 |
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ドキドキ | 8/10点 |
感動 | 8/10点 |
切なさ | 10/10点 |
読みやすさ | 9/10点 |
総評 | 9/10点 |
書評・感想文
『ぼっち』たちの修学旅行
青春時代っていろいろありましたけれど、やっぱり思い出深いのは修学旅行ですよね。みんなでワイワイ騒いだり、自由行動で羽目を外したり、今でも楽しい思い出です。
そんな楽しい修学旅行を描いた物語があります。それは白河三兎さんの『ふたえ』。でも、あれれ? 僕が知っている修学旅行とは少し様子が違います。
何を隠そう、本作で描かれる修学旅行は所謂『ぼっち』たちの物語だったのです。
まるで青春
ぼっち班それぞれの修学旅行は予想外にエキサイト。それほど期待なんかしていなかったはずの修学旅行が、とある問題児の存在により、大冒険へと変わっていきます。
たとえ、ぼっちだとしても、そこにはそれぞれの青春がありました。彼らの思いがけない胸のうち、そして、隠されていた青春には胸をときめかせたり、逆に苦しくなったり、心が大忙しです。まるで青春のようですね。
壮大な切なさに襲われる
また、ぼっち班の一人一人の修学旅行が描かれる本作ですが、ただの青春小説だと思ったら大間違いです。
白河三兎さんはメフィスト賞出身のミステリー作家さん。ゴリゴリなミステリー作品は少ないかも知れませんが、必ずと言っていいほど、驚きと切なさを物語に隠していて、ミステリー心を常に忘れないお方なのです。
今作でもそれは爆発。ぼっちたちの修学旅行はまた違った形となり、そして、ラストには壮大な切なさに襲われてしまいます。
ぼっちたちの修学旅行は、はたしてどこへ向かい、どんな結末を迎えるのか。ぼっち会代表取締役の僕としては目が離せない一冊でした。
心に残った言葉・名言
人の陰口を言い合わなくていいのは、一人ぼっちの利点の一つだ。
「恥ずかしいことを恥ずかしがってやることが一番恥ずかしい。どんなことでも全力でやれば笑われないよ。もし笑う人がいたら、その人が一番恥ずかしい人なんだ」
「でも嫌なことを押し付けられた時に、嫌々やっていたら人生が勿体なくない?」
「ウチに恩返しをしたいんやったら、自分の周りにいる人に優しくして。そしたら回り回ってウチのところに優しさが届くし。世の中ってそういうふうにできてるんやて」
「自分の力で運命を切り開くには、まず一度運命を受け入れなくちゃならねーってことを知らない奴らが多すぎるんだ」
親には養育の義務があるんだから、狡賢く甘えろ。俺を信用できなくても、『教師は生徒の面倒をみる義務がある』って割り切って頼れ。
白河三兎さんの他作品
最後に
学生時代ぼっちだった人、修学旅行にいい思い出がなかった人、京都国際マンガミュージアムに行きたい人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。