ご覧いただきありがとうございます。
本と宴へようこそ。

どうも、宴です。
生きていると、ああ、生きづらい…と感じることが度々あります。でも、本作を読むと、これでいいのかもしれない、と思えるようになりました。寺地はるなさん、ありがとうございます。
ということで、今回は寺地はるなさんの『雨夜の星たち』をご紹介させていただきます。
<おすすめ記事>
雨夜の星たち/寺地はるな
三葉雨音は他人に感情移入できない26歳。同僚星崎くんの退職を機に、仕事を辞め移動手段のないお年寄りの病院送迎や雑用をする「しごと」をはじめる。他人に関心がないのは、相手のことをわかった気になりたくないからじゃない?文芸界の注目著者が「めんどうな人」の機微を描く!(「BOOK」データベースより)
KY度 | 9/10点 |
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ドキドキ | 6/10点 |
感動 | 6/10点 |
切なさ | 8/10点 |
読みやすさ | 9/10点 |
総評 | 7/10点 |
書評・感想文
空気が読めない
よく他人に「空気読めないね」って笑顔で言われます。どうも、宴です。空気を読めない人は虐げられがちな世の中ですが、頑張って生きています。
そんなことより、空気警察に僕は言いたいことがあるのです。なぜ読めないの? どうして普通に出来ないの? と首を捻っているようですが、そもそも読む必要なんてあるのでしょうか。普通とは何なのでしょうか。
感情移入ができない
本作『雨夜の星たち』の主人公、雨音は人に感情移入ができません。何となく人の気持ちはわかるようですが、察することができないのです。大変生きにくいことかと思われます。
ところが、雨音さん。え、何、それがどうしたの? 空気を読んでどうするの?という風情で生きています。うわぁっ、なんてカッコいいのでしょうか。
とはいえ、雨音さんは強い人間というわけではありません。だからこその揺れが見受けられます。些細な揺れかもしれませんが、それこそがこの物語を魅力あるものとしています。
空気なんて読まなくてもいい
人生を円滑に生きていくためには、確かに空気を読むことは必要なこともあるでしょう。読まなかったせいで傷つくこともあるかもしれません。
それでも読まなかった先にある世界は、それはそれで素晴らしい。そう思わせてくれる物語でした。
心に残った言葉・名言
「必要以上の感傷は人生の荷物になるから。ええことや」

昔よく喋る人を「機関銃のように」喋ると描写した文章を読んだ時いくらなんでも大袈裟だろ、人死ぬぞ、と思ったのだが、今はあながち大袈裟でもない気がしている。いきおいが良すぎる喋り声は他人の生命力を確実に奪う。

「親が子どもを育てるのはあたりまえ。大人になってまで、そんなにいつまでもいつまでも、感謝する必要はありません」

「君は今こういう仕事やってて、いろいろ不安じゃないの。将来のビジョンとかちゃんと持ってる?」
鼻から緑茶を噴きそうになった。びじょん、と復唱してみる。頭の中でハトが羽ばたく。いやあれはピジョンか。

「よくある話」が身に降りかかった際に、よくある話なので明るく乗り越えろと強制することは、暴力だ。「よくある話」は自分の身に降りかかればすべて個人的で特異な事情となるのだから。

ハローワーク。その名称を口にするたびに、わたしはなんとなく笑ってしまいそうになる。そこに集っている人たちが「ハロー」などという軽いノリではないので、よけいに笑ってしまう。

やらない後悔よりやった後悔がどうとか誰もが口にする。それは誰もがなんらかの後悔とともにしか生きていくことができないということを意味するのではないだろうか。

寺地はるなさんの他作品
最後に

空気が読めない人、めんどうな人、機関銃のように喋る人にはおすすめなので、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。
