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【ネタバレなし】震災の記憶と時間を突き詰める|石沢麻依さん『貝に続く場所にて』 書評・感想文と心に残った言葉・名言

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ご覧いただきありがとうございます。

本と宴へようこそ。

管理者:宴
ところで、『全然予期していなかったけれど、着ていたTシャツのタグがついたままだった時』と『貝』って…おいしいよね!
 

どうも、宴です。

小説にはいろんなジャンルがあります。とくに純文学は幅が広くて、難解なのもあればわかりやすいのもあります。今回紹介する作品ははたしてどちらでしょう?

 

ということで、今回は石沢麻依さんの『貝に続く場所にて』をご紹介させていただきます。

 

 

 

 

貝に続く場所にて/石沢麻依

あらすじ

コロナ禍が影を落とす異国の街に、九年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。第64回群像新人文学賞、第165回芥川賞受賞。(「BOOK」データベースより)

言葉 10/10点
ドキドキ /10点
感動 /10点
切なさ /10点
読みやすさ /10点
総評 /10点

 

書評・感想文

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違和感

僕は本を読み始めてから、文章というものの凄さ、偉大さ、そして、可能性にぶん殴られ続けてきました。で、パンチドランカー気味です。文章というのは人の感情を搔き乱す凶器でもあるのですから。

 

本作『貝に続く場所にて』は、新たな文章の可能性を感じた一冊でした。読み始めた時は、およよ、と戸惑いながらも、読み進めるごとに文章の凄まじさに打ちのめされる。それの繰り返しでした。

 

文章が踊り狂う

主人公は東日本大震災の直接的な犠牲者ではありませんが、密接に関わってはいます。で、ある日、行方不明だったはずの友人が現れたのをきっかけに、自分の中で曖昧だった震災の記憶と時間を突き詰めていくのです。

 

そうです。文章は何かを突き詰めることにも用いることができたのです。そのためなのか、単純なワードを突き詰めて細分化したような言葉の羅列が多いです。読み手はこの世ではないどこか超越した空間にいるかのような錯覚に陥るでしょう。

 

波打つように踊り狂う文章が突き詰める記憶と時間。それは何だか浮遊しているようにも感じます。現実なのか、それとも心の中の世界なのか、または別の異次元なのか。完全にとらえることが難解な世界が広がっています。

 

貴重な読書体験

一言でいってしまえば、本作は難しいです。僕も物語を完全にとらえた気がしていません。けれど、現実的なようで、抽象的でもある。そして、簡単にはつかめない世界観。こういった読書体験はなかなかできるものではありません。

 

突き詰めていった先には何があるのか。ぜひご自分の目と心でお確かめ下さい。

 

 

心に残った言葉・名言

場所が抱く時間の顔や記憶は、無残に引き裂かれて破壊の跡が刻み付けられ、それが顔として定着することもある。

管理者:宴
人間の記憶ほど曖昧なものはないもんね。
 

 

過去は誰かの顔や姿を借りるものよ。

管理者:宴
借りパクだけどね。 

 

人間の身体の境界線なんて、けっこう曖昧だから。時々別のものがくっついてしまったり、生えたりすることも珍しくない。

管理者:宴
僕の母は角が生えてた気がする… 

 

本人がそう振舞おうとも、子供であるという前提を周りが忘れたら駄目なんだよ。痛みには耐えられないことを、大人が気をつけなくてはならない。

管理者:宴
大人が一番忘れてはいけないこと! 

 

 

最後に

管理者:宴
今回は石沢麻依さんの『貝に続く場所にて』を紹介してきました。
 

言葉に酔いしれたい人、震災の影響があった人、ドイツに住んでいる人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております。