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どうも、宴です。
トロピカルパフェとはどんなパフェなのでしょうか。ただのパフェではないはずです。ただの小市民ではない小鳩君と小佐内さんが食べるくらいなのだから。
ということで、今回は米澤穂信さんの『夏期限定トロピカルパフェ事件』をご紹介させていただきます。
<おすすめ記事>
夏期限定トロピカルパフェ事件/米澤穂信
小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。(「BOOK」データベースより)
小市民度 | 3/10点 |
---|---|
ドキドキ | 8/10点 |
感動 | 6/10点 |
切なさ | 8/10点 |
読みやすさ | 9/10点 |
総評 | 9/10点 |
書評・感想文
小市民シリーズ第二弾
自分の中で眠る禁忌。それを封じ込めるため小市民の星を目指す小鳩君と小佐内さんの物語は、まさかまさかの展開を迎えます。
小市民シリーズ第二弾『夏期限定トロピカルパフェ事件』。堂々の開幕です。
小佐内スイーツセレクション・夏
今作は『小佐内スイーツセレクション・夏』ということで、前作に比べて格段と甘いものが食べたくなります。一体どんな味がするのか。地団駄を踏んで二人の様子を窺うしか出来ないのが悔しくてたまりません。
謎と事件も前作よりグレードアップ。なかなかに物騒な事件もおきてしまうので、大丈夫かなぁ、と肝を冷やします。
何かおかしい
ところがです。読み進めるうちに、どこか違和感を感じてしまうのはなぜなのでしょう。何かおかしいです。それが何かわかりませんが、正体不明の殺人鬼らしき存在が、僕のところに向かってきているような…すごく漠然とした不安に駆られるのです。
その不安は二人の運命を左右するものでした。さすが、米澤穂信さんです。この小市民シリーズを単なる青春小説として括る気はないようです。
この先は危険な香りがしますが、次回作第三弾は『秋期限定栗きんとん』です…うーん、食べてみたい。
心に残った言葉・名言
真に小市民というのは、「ルールは破るためにあるのさ」などと嘯いて夜祭に出かけ、そのくせ教員や補導員の姿を見るとこそこそと逃げ隠れするような行動を言うのだ。
「高いとか安いとか、そういうことじゃないの。……わたしは綿菓子を舐めるのよ」
人間の目は中央部分に弱い。だから暗闇でものを見るときは周辺視の技術を使う。ことの真意をつかむには、思考を散らすのだ。コアを包み込む全体像こそが、真に見るべきものなのだ。
「まあ、なんだ。いろいろ思うに、泣き言を聞かせるにはお前が二番目に適している」
「二番目? 一番は」
「穴掘って叫んで埋めとくのが一番だな」
本当に完全な偶然なんてそうはない。完全な必然がそうそうないようにね。
米澤穂信さんの他作品
最後に
青春ミステリーを読みたい人、パフェが好きな人、小市民になりたい人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。