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どうも、宴です。
夜って不思議ですよね。怖くなったりもしますし、気分がだだ下がることもありますし、やる気が沸々とわいてきたりもします。そんな夜の不思議を描いた小説がここにあります。
ということで、今回は小野寺史宜さんの『今夜』をご紹介させていただきます。
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今夜/小野寺史宜
最高の出来事も、最悪の思い出も。生まれるのも、壊されるのも。人生の分かれ道は、たいてい夜に姿を見せる。ボクサー、タクシー運転手、警察官、高校教師。その夜、四人の男女は、闇に侵されたー。人間の強さと弱さを繊細な視線で見つめ、生まれた、忘れられない物語。(「BOOK」データベースより)
ワクワク | 8/10点 |
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ドキドキ | 8/10点 |
感動 | 6/10点 |
切なさ | 9/10点 |
読みやすさ | 9/10点 |
総評 | 9/10点 |
書評・感想文
夜に動かされて
夜って暗くて怖くてゾンビが出るようなマインクラフト的なイメージがありますけど、不思議と「よし、やってやるぞ!」みたいな前向きな気持ちになることもありませんか? 僕はよくありまして、唐突に大掃除を始めたりしてしまいます。
これはきっと夜に動かされているのです。朝でもなく、昼でもない、夜にしかできないことなのです。大掃除。本作『今夜』は、そんな夜に動かされた4人の物語です。抱え込んで爆発しそうな日常の疑念や憤懣を夜が後押しします。
夜って
夜と言っても展開はそれほどハードではありません。せいぜい盗撮騒動があるぐらいで、そういった夜の危険な側面が表れる小説ではありません。
夜がもつ一種の開放感と言いますでしょうか。ふと考え込んでしまったり、物思いに耽ったり、それでいて今なら何かできそうな気がしてしまう夜の不思議がドラマティックに描かれていきます。
ああ、そうかもな、夜って。ふとそんなことをぼやきそうになります。でも、それは危険な諸刃の剣でもあるので、注意が必要ですね。4人にはよく言っておきます。
新たな魅力
また、本作を書いたのが、いつも優しくてゆったりとした時間を与えてくれるらあの小野寺史宜さんというのには驚きました。『ひと』や『いえ』など、今まで読んだ作品とは明らかに違う作風なのです。こんな顔もお持ちだったのですね。びっくりです。
新たな挑戦が功を奏した力作『今夜』。小野寺史宜さんの今後の作品に期待せずにはいられない一冊でした。いろんな作風が書ける小説家って、魅力的ですよね。
心に残った言葉・名言
夜は人の視界を狭める。時間の進みもおかしくする。酔ってさえいなければ、ずっと歩いてられる。視界を狭められて周りのことが気にならない。時間の進みがおかしくて疲れを感じない。

リスペクトは軽い。もはや尊敬と同義であるとは思えない。日本語として使う場合のリスペクトと尊敬はちがう。尊敬では違和感があるからリスペクトという言葉が使われるのだ。

人は、他人任せにできるものに関しては本当に適当なことを言う。教師もそうでない人も同じ。

夜にしかできないことがある。夜だからしてしまうこともある。歴史は夜作られるという。人は動いてしまうのだ。夜に。

小野寺史宜さんの他作品
最後に

夜が好きな人、とにかく動き出したい人、ボクサーかタク女か警官か教師の人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。
