ご覧いただきありがとうございます。
本と宴へようこそ。
どうも、宴です。
全部エスカレーターにしてよ! って言いたくなるぐらい階段が多い施設がたまに見受けられます。それはもはや階段じゃなくて怪談なのではないでしょうか。
ということで、今回は乙一さんの『シライサン』をご紹介させていただきます。
シライサン/乙一
親友の変死を目撃した山村瑞紀と、同じように弟が眼球を破裂させて亡くなった鈴木春男。それぞれ異様な死の真相を探る中、2人は事件の鍵を握る富田詠子から、ある怪談話を聞かされる。それは死んだ2人と詠子が旅行先で知った、異様に目の大きな女の話だった。女の名を頑なに告げなかった詠子だが、ひょんなことからその名を口に出してしまう。「お2人は…呪われました」-その日から瑞紀たちの周囲でも怪異が起き始め…。(「BOOK」データベースより)
恐怖 | 8/10点 |
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ドキドキ | 9/10点 |
感動 | 4/10点 |
切なさ | 7/10点 |
読みやすさ | 8/10点 |
総評 | 7/10点 |
書評・感想文
魔性の女たち
僕の過去を振り返ってみると、今まで散々怖い女の人たちに振り回されたなぁ、と感慨深くなってしまいます。花子さん、カシマさん、貞子さん、伽耶子さん…今でも元気に恐怖を振りまいているのでしょうか。
もうしばらく女の人はこりごり…と思っていたのですが、そうは問屋が卸しませんでした。散々巷を賑わしてきた恐怖オールスターズにルーキーがやってきたのです。その名もシライサン。
これこそホラー
彼女はある条件を満たした人間に伝染し、対象者を苦しめ死に追いやります。恐怖オールスターズの先輩方を踏襲したそのやり口は、ベタと言えばベタです。でも、先輩方へのリスペクトで溢れていて、ホラー大好き人間であり、今まで魔性の女たちに振り回されてきた僕を唸らせます。
そうそう求めていたホラーってこういうのだよ! と、歓喜に震えつつも、確信を抱きました。やはり一番の恐怖はわからないことなのだ、と。
振り回されないように
「シライサンの呪いって何なのですか?」「シライサンのバックボーンは?」「どうすれば助けてくれますか?」… インタビューアーさながら聞きたいことはたくさんあるのに、恥ずかしがり屋なのか、シライサンは中々それらの質問に答えをくれません。
ヒントはそこら中に転がっている気がするのに、真相に近づけば近づくほど遠ざかっていくシライサン。あまりのもどかしさに目玉が破裂してしまいそうです。あ、危ない! また、魔性の女に振り回されるところでした。
本当に怖いのはわからないこと。シライサンは我々にそう訴えかけているのです。皆様もどうか振り回されぬようお気を付けください。
心に残った言葉・名言
Facebookには、サービスの利用者が亡くなった際、アカウントのトップページに【追悼】と表示される機能があるらしい。
お前は何なんだ! と男が言った。
するとその女は、シライサンだ、って名乗ったんだ。
あいつも、死の恐怖を乗り越えて、あの世にいるんだって思うとな、なんか、死を、受け入れられるんだよなあ
死を想え。死を見つめろ。目をそらすな。
乙一さんの他作品
最後に
ホラーが好きな人、乙一さんのダークな世界に触れたい人、花子さんと友達の人にはおすすめだから、ぜひ読んでみてね。
それでは本日はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました。