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【ネタバレなし】理不尽な時代に立ち向かう男たちの物語|柳広司さん『アンブレイカブル』 書評・感想文と心に残った言葉・名言

ご覧いただきありがとうございます。

本と宴へようこそ。

管理者:宴
ところで、『全く面識のない人とエレベーターに閉じ込められた時』と『蟹工船』って…地獄だよね!
 

どうも、宴です。

地獄はこの世の下の方にあると思っていたのですが、どうやら地獄はこの世にあったみたいです。理不尽という名の地獄が、本作では描かれています。

 

ということで、今回は柳広司さんの『アンブレイカブル』をご紹介させていただきます。

 

 

 

 

アンブレイカブル/柳広司

あらすじ

「蟹工船」の取材と執筆に熱中するプロレタリア文学の旗手・小林多喜二。反社会的、非国民的思想犯として特高に監視される反戦川柳作家・鶴彬。同業他社の知人たちに不可思議な失踪が続き、怯える編集者・和田喜太郎。在野にありながら、天才的な論考を発表し続ける、稀代の哲学者・三木清。1925年、治安維持法成立。太平洋戦争の軍靴の響きが迫るなか、罪状捏造に走る官憲と、信念を貫く男たちとの闘いが始まった…。「ジョーカー・ゲーム」シリーズの著者が令和の世に問う、歴史スパイ・ミステリ。(「BOOK」データベースより)

理不尽 /10点
ドキドキ /10点
感動 /10点
切なさ /10点
読みやすさ /10点
総評 /10点

 

書評・感想文

不敬罪

理不尽って嫌ですよね。たしかに生きていると様々な理不尽と戦わなければいけない時もあります。

 

ですが、そもそも戦いにすらならないようなハンデのありすぎる理不尽が過去の日本に存在していました。

 

不敬罪…それはもうイチャモンのようなもの。きみ、国の悪口言ったよね、はい投獄です、拷問します。君、国の悪口言いそうだね、はい、拷問です。それは地獄のような理不尽だったことでしょう。

 

地獄の中の四つの物語

本作『アンブレイカブル』はそんな暗澹とした時代に信念を貫き通した四人の人物を描いた小説です。居た堪れない地獄のような時代にもがきながらも生きる姿には胸を打たれます。とくに小林多喜二さんの登場には心が躍りました。

 

そして、考えさせられます。もしも僕がこの時代に生きていたら、抗うのだろうか。それとも隠れるようにして怯えて暮らしていくのか。はたまた処罰する側になるのか。

 

まさにアンブレイカブル

処罰する側、特別高等警察、通称『特高』は確かに悪そのものです。けれど、それが普通となった社会では、簡単に『悪』とは言い切ることはできません。だからこそ、抗う四人の物語は高邁なのです。

 

とはいえ、大変不謹慎なのですが、小説において、この時代はすごく映えます。とても心地のよいハラハラドキドキに包まれたまま、この物語は終焉を迎えていきます。このおもしろさはアンブレイカブルです。

 

 

心に残った言葉・名言

「蟹工船乗る者はみな『おい地獄さ行ぐんだで!』、そんなふうに言ってる」

管理者:宴
地獄って船で行くんですね…! 

 

おめでたい進歩史観を信奉する左翼は未来に理想社会を夢想し、ありもしない過去の原理に理想を置く右翼は反動・排外主義を旨とする。目の前の醜い現実を全否定し、夢物語を思い描くという点においては右翼も左翼と変わりはない。

管理者:宴
理想は理想ですから。 

 

国民の多くが欲しているのは正確な情報ではない。彼らは、ああしろ、こうしろ、と指示されるのを待っているだけだ、その方が楽だから。

管理者:宴
楽をしちゃダメ! 

 

「2+2を7にする。これが戦時日本の算術だ」

管理者:宴
計算間違ってますけど…!? 

 

日本国民にとって重要なのは真実かどうかではない。

管理者:宴
真実は作り出せる! 

 

地上を支配しているのは、優れた能力でも、超人的な論理性でも、美しい行いでもない。ある種の凡庸さだ。

管理者:宴
凡庸最強説。 

 

柳広司さんの他作品

 

 

最後に

管理者:宴
今回は柳広司さんの『アンブレイカブル』を紹介してきました。
 

理不尽に辟易している人、不敬罪があった時代を垣間見たい人、これから地獄に行く人にはおすすめなので、ぜひ読んでみてね。

 

それでは本日はこのへんで。

ご覧いただきありがとうございました。

管理者:宴
またのお越しをお待ちしております。